short story

□翼の生えた少女
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 荒野の上に延々と広がる空は、どこまでも青くありました。
 澄み切った青空、乾いた風、不純物のない空気は、いっそ清々しい程です。
 潤いに溢れた大地に、少年は横たわっていました。
身体を起こす気力も、もはやのこされてはいませんでした。
 大地は人間の赤い雨によって潤っていました。
無感動に降るあの透明な雨とは異なる、感情に満ちあふれた黒い雨でした。
 それでも大地はこの一時の渇きさえしのげれば、それでいいのかもしれません。
少年はくっくと笑いながらそう思います。
 かく言う少年も大地を潤す一人で、
彼の腹からはいまだどくどくと黒い液体が零れ続けていました。
止血の為に巻いた布は、今となっては何の役にも立っていません。
 少年は空を見上げて想いました。
遠い、彼の住んでいた地に伝わる死神の言い伝えを。
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