middle story

□夢の通い路2
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 僕はベッドの上で昨日買ったばかりの漫画を読んでいた。
窓を開け放し、青いカーテンが揺れる。
夏の風は湿気を含み心地よいとは言い難かったが、それでも僕はエアコンなどの人工的な風よりも自然の風の方が好きだった。
扇風機は、これもまた開け放されたドアの外を向いてかかっている。
風の流れを作るだけで体感気温はそれなりに下がっていた。
 肘で身体を支える姿勢に腕がつらくなり、身体を起こす。
しかし仰向けは読みにくいしな、と考えながらふと外を見た。
 それは一瞬の出来事。
光の柱が、空を貫く。
入道雲の遥か上空から光の筋が地面を刺した。
その一筋は地面に触れた途端爆発的に広がり、筋から棒へ、棒から柱へ。
そして僕の目の前は白に包まれる。
光が溢れかえり、そして身体が宙に舞った。気がした。
 前も後ろも右も左も、上も下も分からなかった。
ただ足のつくべき地面がない、ような気がした。
だから「宙に浮いた」気がした。
 背中に強い衝撃を受け、尻餅をつくとようやく僕の向いている方向が分かった。
ベッドから吹き飛ばされてドアの近くの壁に背中を打ちつけたらしい。

「い、てて……」

 まだあの光に受けた目への衝撃はとれきっていないらしい。
目をこすり、辺りを見回す。
それでもまだ視覚は充分に働いていなかった。
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