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□あなたからの贈り物
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ずぶ濡れの私を見て、そこらを歩いていた人たちが変な目で見てくる。
だが、別に何とも思わない。
私としては彼らが傘を差して歩くことが理解できない。
そんなに濡れたくなければ、外に出なければいいだけのこと。
濡れるかもしれないと分かっていながら、わざわざ外に出るなんて、不思議だ。
更に街中を歩いていると、引ったくりに遭った女性が、店に駆け込んで助けを求めているのに出会った。
相手はバイクに乗っていたらしい。雨の日に、よくやるなぁなんて、ある種感心。
店の人は女性をなだめて「可哀想に」なんて言ってるが、私は別にそうは思わない。
外に出なければ引ったくりなんか遭わないし、隙を見せなければ盗られずに済んだ。
それに、私には感情など、ない。
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