Short

□人生で一番嬉しいのです
4ページ/6ページ


デンジは学生時代、女子生徒に人気でアイドル的存在だった。かくいう私も、そんなデンジのことが好きだったし、だからって告白する勇気などなかった。それに、生徒達の間でちょっとした噂が流れていたのもあって、私は遠くから見ているだけしかできなかったのだ。

その噂とは、デンジは同級生のミカンちゃんのことが好きで、ミカンちゃんもデンジのことが好きだということだった。きっと陰で付き合っている、という噂まであった。ミカンちゃんは校内のアイドルだった。誰とでも分け隔てなく接し、優しくて頭のいい可愛い子。女子生徒達も彼女に憧れていた。そして私も。



「デンジって、ミカンちゃんと付き合ってたんじゃ・・・?」

「は?んなわけねーだろ。オレが好きだったのは、お前だけだったんだから」

「え、でも噂では・・・」

「噂は噂だろ。てかそんな噂が流れてたのかよ」



何だ、両想いだったんだ。それなら告白してくれればよかったのに。というか、私から告白してもよかったのかもしれない。



「ね、デンジ」

「ん?」

「何なら私たち、付き合っちゃおうか」

「は?」

「あ、それとももう彼女いるかな?」



いるよねー、なんて笑いつつ、いたらちょっとショックだなと思っていた。第一デンジはモテるのだ、寄ってくる女の子はたくさんいるだろうし、私たちはもうそれなりに大人だから、恋人がいたっておかしくない。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ