ミニシリーズ
□彼もまた、どこかへ
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「・・・何か、見たことある・・・」
トージョウの滝の近くで、水色の青年が洞窟内に入っていくのを見かけ、気がついたら彼の後を追っていた。しばらく進むと、岩場に座り込んでいる彼を見付けた。その表情は疲れきっていて、最後に見たときよりも幾分痩せているように見えた。そんなことになったのは、自分のせいでもあるために、何だか申し訳ない気持ちになる。R団を壊滅させたのはいいことなのだろうが、そのせいで人が死んだりしたら後味が悪すぎる。彼の虚ろな瞳は、滝から落ちる水飛沫のすぐ傍を映しているようだった。
「――!・・・お前は・・・」
「・・・こんにちは・・・」
近付こうか否か迷っていたころに、青年に先に発見されてしまって私はゆっくりと彼に近付いた。
「・・・何しに来たんです?警察に引き渡すために私を探してたんですか?」
青年の目の下にクマができた。私は首を横に振って彼の隣に立つ。
「・・・偶然、アナタを見かけたから、ついてきただけ。それに、私は最初からアナタを警察に引き渡そうなんて思ってない」
私は信じているのだ。彼らが正しい道を歩んでくれることを。先日だって、彼の憧れの男に、そう言ったばかりだ。
「・・・そう、ですか・・・」
青年は再び視線を水飛沫のほうへ向けた。
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