ミニシリーズ

□強さと弱さと
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「チッ、弱いポケモンだぜ・・・」



そう言って赤髪の少年はポケモンをボールに戻した。ポケモンは強さこそがすべてだと思い込んでいる少年。強くなるためなら・・・いや、強いポケモンを手に入れるなら、どんな手段も厭わないという。半年ほど前にウツギポケモン研究所からポケモンを1匹盗んだ犯人が彼。そのポケモンもとりあえずは最終進化を遂げていたが、ポケモンに対する愛情が足りないためか、ポケモンが彼を信用していない。戦ってみてそう感じた。まぁそれ以前に、私に勝とうなんて10年早い。



「・・・弱いポケモン、ねぇ・・・」

「弱いポケモンは役に立たない。他のポケモンを手に入れるしかねぇ」

「・・・キミのポケモンは弱くないと思うけど・・・」

「バトルに勝てないんじゃ、弱いに決まってるだろ」

「・・・弱いのはキミ自身だと思うけど」

「何だと!?」



私は自分のポケモンをボールに戻して溜息を吐いた。



「・・・ポケモンはトレーナーの気持ちに敏感。トレーナーがポケモンに愛情を込めて接し、的確な指示を出せば、ポケモンは期待に応えてくれる」

「愛情?お前、あのマント男と同じこと言うんだな」

「・・・マント男?」

「カイリューを連れていた、マント男だ」



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