ミニシリーズ

□ストーカーはやめて
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エンジュシティ、歴史の香る町。先日まで黒服の怪しい奴らが彷徨いていたが、ある子供のお陰でそれは解決されたらしい。そのことに、なんとなく3年前を思い出す。3年前、R団を壊滅させたのは1人の子供、エンジュの怪しい奴らを蹴散らしたのも子供。今回のR団を壊滅させたのは、おおよそ子供とはいえない私だが。

さて、現在私を焼け焦げた柱と煤の臭いが取り囲んでいる。焼けた塔。大昔、人間に失望したポケモンが焼き払った塔。エンジュの東にはスズの塔があり、こちらは伝説のポケモンが舞い降りる神聖な場所とされており、一般人の立ち入りは原則不可とされている。して、何故私が焼けた塔に来ているかといえば、とあるポケモンの調査のためだ。知人の知人が捜し求めているという、伝説の青いポケモン。その知人の知人には会ったことはないが、聞く限りでは少し近寄りがたいイメージがある。



「彼はね、スイクン一筋なんだ」



知人―エンジュジムリーダー、マツバが言ったスイクンとは、私の調査対象の青いポケモンのことだ。北風の化身といわれるそのポケモンは、滅多に人前には姿を現さない。ただ、伝説のポケモンは他にもいて、雷の化身・ライコウと、火山の化身・エンテイには、そのマツバの知人には興味がないらしい。何故スイクンだけに興味があるのかは不明だ。

焼けた塔の内部を慎重に進んでいく。床が焦げて炭になっていたり、柱が脆く今にも倒れてきそうなため、迂闊に足を進めると大怪我をする可能性がある。念のため、私の相棒のメタモンを肩に乗せて進もうと思う。



「・・・メタモン、何かあったら助けてよ」



メタモンはのほほんとした表情を浮かべながら頷いた。なんだか信用ならない気がするが、とりあえず進もう。



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