ミニシリーズ
□激しい戦い
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月に一度行われる、タマムシデパートのセールにやってきた。傷薬や元気のかけらなど、回復系道具をまとめ買いするチャンスだからだ。別にお金がないわけではない。一応チャンピオンだから、それなりには持っているが、やはり安売りのときに買うほうが、たくさん買えるわけで。
3階の一角に設けられた、婦人服売り場に目をやると、人ごみを押しのけ、商品を奪い合うおばちゃんたちの姿が見られた。自分もあと20年くらいしたら、あんな感じで同世代の女性たちと戦うのかな、なんて思っていると、見覚えのある人が見えた。私服だから分かりづらいけれど、あの顔は間違いない、R団の元幹部だ。彼女はそこらのおばちゃんたちに混じって、商品の奪い合いを繰り広げている。あんな必死な形相、R団時代に見たことあっただろうか。
私も一通り買い物を済ませると、ちょうど彼女もレジを済ませたところのようだった。そしてふと目が合うと、あからさまに嫌な顔をされた。恐らく、R団を壊滅させた遇いたくもない人間と遭ってしまったからだろう。とりあえず私は、屋上へ向かった。荷物も重いし休憩したい。
屋上はセールで集まった人々で賑わっていて、とりあえず空いたベンチへ腰掛けた。と。
「冷たっ!」
突然頬に冷たいものが押し付けられた。振り返るとそこには、赤い髪の女性。R団元幹部の女性が立っていた。
「隣、いいかしら?」
私が頷くと、彼女は大量の荷物を足元に置いて私の隣に座った。
「あーあ、遭いたくない人に遭ったわぁ」
なんて言いながら、サイコソーダを私に手渡して、彼女はミックスオレのプルタグを開けた。
「久しぶりねぇ、元気だったかしら?」
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