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□冷たい地下で
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暇だからって、アテナ様の部屋に行ったのが間違いだったと思った。
アテナお姉様、と慕う女性団員や、その色気に誘われる男性団員は多い。私は、そりゃあ幹部様だから慕ってはいるけれど、別に憧れの眼差しを向けているわけではない。単に暇潰しと面白いことがないかと思って、アテナ様の部屋に向かったのだ。
ドアをノックしてアテナ様の部屋に入ると、そこにアテナ様の姿はなかった。代わりに、ランスさんの姿があるのみで、一瞬何が起こったのか分からなかった。
「あれ・・・?アテナ様は?」
「アテナなら任務でエンジュに行ってますが。それより何故お前がここにいるのですか?」
「あ、いや・・・チョット悩みとかアテナ様に相談しようかなって。あはは」
するとランスさんは怪訝な顔をしてこちらにやってきた。
「ほう、直接の上司である私ではなく、アテナに相談ですか」
「え、いや、あの、女性同士の方が話しやすいですし・・・」
ランスさんはじっとこちらを見て、それから咳払いを一つ。
「お前に一つ、任務を頼みましょうか」
「え、いきなり?」
「どうせ暇なのでしょう。アテナがいない以上、お前の相談という名の暇潰しはできないでしょうから。暇なら仕事していただきましょう」
いつものことながら、私の拒否権はないようだ。
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