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□あなたからの贈り物
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ある日の昼下がり。
私はいつものように部屋のテレビをつけ、ニュースを見ていた。
毎日毎日、何かしらの事件が起きて、悪い言い方をすれば、飽きない。
今日のトップ見出しは女子児童連続殺人事件の犯人が捕まったというもの。
殺された女子児童の遺族は、犯人に対して強い憤りを感じているようで、
「犯人を殺してやりたい」とか、「死刑になればいい」とか、マイクに向かって叫んでいる。
ニュースキャスターやコメンテーターはそれを見て、「許せない」とか、
「遺族の悔しさが解る」とか、お決まりのセリフを述べている。
本当はそう思っているわけ、ないのに。
遺族の悔しさなんて、他人に解るわけないのに。
そして、私にもそんな感情は一つも湧いてこない。
この事件の関係者云々ではなく、私には感情など、持ち合わせていないからだ。
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