教育実習生 坂田銀八
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坂田先生は、第一印象と寸分違わぬめちゃくちゃな先生だった。
2日目の朝には、さっそく、微かにお酒の匂いが残る体で学校にやって来て、小笠原先生に廊下でこっぴどく怒られているのを発見。
「すんません。ちょっと昨日、若さゆえの向こう見ずさで弾けて飲んじゃいまして」
「若さゆえ、じゃないよ!何考えてんだ、お前は!実習する気があるのか!」
「あの〜、声、頭に響くんスけど」
「知るかァァ!」
「…え〜と、いや、ハイ、すんませんでした」
そうかと思えば。
担当教科の国語では、『走れメロス』を読み解くという授業のさなか、
「要するに、アレだ。この物語は友を信じる気持ちっつーモンが主体となっているわけだ。やっぱり危ない時には必ず来てくれる、とみんなが信じてるんだよ、悟●を。つーか、やっぱり俺的には、ベ●ータ、ピッ●ロといったライバルキャラたちの魅力が少年たちの心をより引き付けていると…」
なんて、いつの間にやら読み解いている物語がメガヒット漫画にすり替わっている。
「…坂田先生」
教室の後ろで監督している小笠原先生に睨まれ、
「…ハイ、すんません」
と、ようやく軌道修正。
そんなことばかりだった。