V


“可愛い”
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『リョーマくんっ!!』




後ろから突然声がかかった



何かと思って振り向けば



そこには………






「先…輩……何…してんの……」




『えへへーっVv可愛い?』




黒いワンピースに白いフリルのついたエプロン……




もとい……メイド服…なんて呼ばれるものを着て立っている先輩の姿






『ふふーっVv私のクラス、喫茶店出すの!!』





そこでやっと、普段とはかけ離れて



けど、今の周りの風景にはすっかり溶け込んでいる先輩の姿を理解した





『ねぇっ!可愛い?』




俺の前でくるくると回ってる先輩




「いいんじゃないッスか?」




広がる裾と先輩の長めの髪が綺麗で




少し見とれたのを隠すように廊下でペンキを広げている人達に目をやって







『ホントっ!?ほらぁ!見たか!桃ぉっ!!』




その途端に先輩が呼んだ名前





「は………?」



唐突すぎたソレに思わず声が零れたのは仕方ないと思う






「いやいや!可愛いとは言ってねーじゃねーか!!」



『いいって言ったじゃん!』




どこからともなく現れた桃先輩と始まった喧嘩……









「…どーゆーことッスか」





自分で思ったより不機嫌になった声に、やっと2人の声が止んだ








『いや…あのね…桃がリョーマくんは可愛いなんてお世辞言ってくれないって言うから』



「だって越前のそんなセリフって聞いたことねぇし想像できねぇんだって!!」



『だから……実験……?』





無邪気に笑って
ごめんね?
なんて言ってる先輩を怒る気にはなれないし




しょーがないから隣の桃先輩を軽く蹴飛ばして







それから……




自分のクラスに戻る寸前に一言



先輩にも仕返しを耳元に囁く……――









「先輩、ホントに可愛いッスよ?」










俺は先輩が赤くなって固まったのを見てから




悠々と階段を上った……―









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文化祭のまつりテンションって、別の人格引き出されるよね

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