V


小さな変化
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初めて手にした自分のメイク道具




今までもお母さんのを借りたりなんかして遊んだ覚えはあったけど



自分の

って持ったのは初めてで




やり方なんてわからないけど、少しでも彼に釣り合う女の子でいたくて……










『ごっ…ごめんっ!!遅れたっ!!』




久しぶりのデートの待ち合わせ


遅刻魔なリョーマを胸の鼓動を抑えながら待つのがいつもの私だったのに





今日は彼が早くに来て…


今日は私が遅刻した……








『ホンットにごめんっ!!』




必死に謝りながら駆け寄る


ゆっくりとあげたリョーマの顔には不機嫌が書いたように現れていて





『お…怒って…る…?』




けど、おずおずと目を合わせると少し驚いたような顔をしたリョーマがいた




『……リョーマ?』




不思議に思って名前を呼ぶ



ハッとしたようにまばたきを数回繰り返して






「……遅い」




って……





ただ、その声も凄く優しくて


微笑を浮かべるなんていうおまけ付きで



とても怒ってるようには聞こえなくて……






『リョーマ?』



「で?どこ行くんだっけ?」




立ち上がったリョーマは少し私から目を逸らして


何事もなかったように次の行動を促した






『あ…うん…えと、見たい映画があるの!!』



「ん」



小さく返事をしてスルリと私の手を掬って歩き出した








小さな変化

(なんか…今日凄い可愛いんだけど///)(リョーマ…今日はなんだか優しいな…)
((いや…いつもそうだけど…))







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