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□空を見る
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ぼーっと
ただぼーっと
空を見る
真っ青で
何にも支配されずに広く
そんな空が嬉しい
そんな空が好き
-キーンコーン
私しかいないような感覚の中で現実味を帯びたチャイムの音が響く
あ……
今日はたしか木曜日だ……
それで……
たしか今のは5時間目の始業チャイムだ……
『ふふっ……///』
思わず顔がニヤける
今日は彼が来る
不意に視界に影が掛かり
真っ青だった空を覆ったのは
「またこんなトコに大の字になってるし……;」
後輩の越前リョーマの顔だった……
『こんにちは』
私がにこりと笑ってみせる
「先輩って、ずっとサボってんの?」
お返し…とでも言うように綺麗な妖笑を浮かべ
私を上から見下ろす
『うん、ずーっと』
「へぇ……」
自分から聞いてきたのに、どうでもよさそうな雰囲気
でもそれすら好きで
どうしようもなくて………
私じゃ手の届かないような人だから
英語の授業になると抜け出して屋上にやって来るのを知っていて
アナタが話し掛けてくれるかも……――
なんて、くだらない希望を持って今日も私は
――――空を見る
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