U
□桜に恋す
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新しい制服に身を包み
新しい道を歩く
初めて持った定期券を提げ
乗ったことのないような
早い時間の電車に乗り込む
駅を出た後は少し歩くけどそれも苦にはならない程、私はこの新しい生活に心躍らせているのだろう
道端に咲き誇った桜の花が少しずつ散っている
『わぁっ///綺麗……』
思わず口から零れた言葉
その妖しくも美しいピンク色に目を奪われていると
「ちょっと……邪魔」
桜に奪われた意識のなか滑り込んできたハスキーボイス
『あっ――……』
一瞬降り注ぐ桜の花弁が全て止まったような錯覚に陥る
「聞いてる?どいてくんない?」
『あ……ご…めんなさい』
チラリと首元に見えた青春学園の校章と“U”の文字
すれ違い様に
「急がないと遅れるよ」
と小さく零してふっと桜のように妖しくも美しく口端を上げたその先輩に
私は心奪われた……―――
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