T
□さどんりぃー
1ページ/1ページ
『好きだよ、君のこと』
突然知らない先輩に言われた言葉
告白ぐらい何度かされたことはあるし、俺がそこまで雰囲気を読めないわけじゃないと思うんだけど
「それは何スか?」
『あぁ……告白だと思ったー?』
あんまりあっけらかんと言ってのける目の前のヒトに呆れて一瞬固まった
『君、いいよね?』
けど、そう言ってふわっと笑った顔は何故か凄く印象的で…………
綺麗だと思った……───
『試合見たの』
「テニス?」
『うん』
「俺の?」
『ううん?青学の』
なんか……短い会話
けど……不思議と嫌悪感はない
『一応みんなの試合見たはずなんだけど……君はなんとなく特別だったの』
「……」
真っ直ぐな先輩の視線とぶつかった
『凄く真っ直ぐな瞳でボールを追い掛けて』
風が拐った長めの髪が夕陽に光っていた
『走る度に汗がキラキラって光って』
何か凄いモノ、見つけたみたいに希望に満ちた表情で
『びっくりするくらい楽しそうな表情で』
なんとなく惹かれた……
『なんとなく惹かれたの』
『これって一目惚れってヤツなんかな?』
その不思議なヒトは
珍しく俺の中にスッと馴染んできて
「俺…アンタと気、合うのかも」
同じコト考えたなんてさ?
これだけ突然だったアンタとの出会いも
必然だったって
今は思うよ……?
.