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□頑張り屋の君のために
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「ねぇ、いいかげん出てこない?」
『やだー』
“冬は寒い”
そんなことは周知の事実で常識だし、その分夏は暑いんだから
『寒いもん。無理だもん』
久しぶりに彼氏の家に来たときぐらい
……こたつから出て来て;
『だぁーって!うちにはこたつ無いんだもーん』
「だからって……一応俺達すっごい久しぶりに会ってんだけど?」
冬休み中はあの先輩達の抜けた穴をカバーするのに俺達、元からのレギュラー組は必死になってて
2コ上の先輩は先輩で一応受験はあるからって勉強に追われてて
毎日のように先輩に通いつめてた俺は限界が近くて冬季実力テストにのっかって久しぶりの休みなのに
「そんなに首まで潜られてたら抱き締めるのも難しいんだけど……;」
『んー…後でー…』
間延びした声は可愛いけど明らかに今にも眠りにつきそうなことを意味してた
とりあえずどっから来たのかカルピンもこたつに潜っていったから、俺も先輩の隣に入る
「先輩」
呼び掛けた俺に半分閉じかけの瞳を向けて微笑む
ゆっくり伸びてきた先輩の手はこたつ布団から離れて俺の服を掴んだ
「あ…れ?先輩、この指どうしたの?」
けど、手には3枚ほどキズテープが貼られていて
親指と中指と小指
『ん……ペンだこ……?』
「ペンだこ?」
先輩の口から返ってきたのは聞き慣れない言葉
『私、ペンの持ち方変だから……力強く書きすぎなんだって』
それは頑張り屋の先輩らしい答え
「つまり勉強のし過ぎなんでしょ?先輩なら成績そんなに悪くないし大丈夫なんじゃない?」
だって、あの英二先輩ですら今だに部活に遊びに来てんだけど……?
『うん。多分平気…なんだけど…ね…』
「けど?」
言いにくそうに変に間が空く先輩の言葉の先を促す
寝転がったままの状態でちょっとだけ俺の方に寄ってきて、目線を外しながら
『私……今…英語の問題集やってるの……』
「英語?」
『うん……受験勉強とはちょっと違うの』
「??」
またワケの分からないことを言い出した先輩
じゃあ今まで俺はなんのために先輩のこと我慢してたわけ?
なんて心の中で悪態ついた直後……
ねぇ、アンタは何回俺を惚れさせる気?
『手塚くんがドイツに行くって言ってたから……もしリョーマが同じような決断した時に……置いて……行かれないように……って///』
今日はもう少しゆっくりしてようか……
頑張り屋の君のために……
「無理はしないでよね?先輩」
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ペンだこだらけの私の手……文章打つの…確実に遅くなった;つか…私この留学設定好きなのか…?
*リョーマアメリカ行き設定無視してすみませんでした*