妄想の小川
□ゆき
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はらはらはらはら
まどからそとをみたアナミズ君は、おそとへかけていきます。
「アナミズ?」
フジギにおもったみんなもおそとへゾロゾロ。
そこはいちめんの銀世界。
きのうのよるにふりつづけた雪でまっしろです。
「♪」
アナミズ君が雪のなかへダイブ!
たのしそうなようすにマサムネ君はつぶやきます。
「雪なんかいまさらだろ」
そんなマサムネ君をアベ君はツンツン。
アベ君が雪のうえをゆびさします。
「っしゃ♪」
ノリムネ君がダイブ!
マサムネ君はビックリです。
「いまさら、ね」
「…」
ナニがたのしいのかわからないマサムネ君は、ひたいにてをあててなやみます。
「あ…」
アベ君のこえにマサムネ君がかおをあげると、
ボスッ!
「!?」
つめたいナニカがかおにあたりました。
ユキダマです。
「まっぬけ〜」
ノリムネ君はたのしそうにわらっています。
「…」
ボスッ!
こんどはノリムネ君にめいちゅう。
「??!」
「ふんっ」
「!!!!」
ノリムネ君がやりかえそうとユキダマをつくっていると、べつのほうこうから
ボスッ!
「???!!」
すみでユキダルマをつくっていたアナミズ君です。
「雪がっせん♪」
そういうとマサムネ君にも
ボスッ!
アベ君にも
ボスッ!
そしてまわりのみんなにも
ボスボスッ!
「あ〜な〜み〜ず〜」
ノリムネ君がアナミズ君に
ボスッ!
みんながあいてかまわず
ボスボスボスッ!
でっかいでっかい雪がっせんです。
「つかれた〜」
マサムネ君が雪のうえでねころがって空をみます。
みんなもつかれてすわりこみました。
「♪♪」
アナミズ君はひとりげんきです。
「アナミズ?」
フシギにおもったノリムネ君がみると、アナミズ君は
ゴロゴロゴロゴロ
「?」
でっかいユキダマです。
みるといつのまにつくったのかおなじくらいのユキダマがあります。
「??」
「っしょ」
「!!」
ノリムネ君はおきあがると、アナミズ君のところにかけていきます。
「てつだう」
「♪」
ふたりでユキダマをかさねます。
「できた!」
「ユキダルマ〜♪」
アナミズ君はうれしそうです。
「お、でかっ!」
ユキダルマのおおきさにアベ君がつぶやきます。
アナミズ君とノリムネ君はとくいげ。
「ちょっとさむくなってきたな」
アベ君のこえに空をみあげると、雪がハラハラハラハラハラ。
「もどるか」
みんながゾロゾロもどっていきます。
「…」
ふたりはユキダルマをジッとみつめます。
「さむい?」
ユキダルマもさむそうです。
「ほらっ!」
いつのまにとってきたのか、マサムネ君が赤いマフラーをさしだしました。
「マフラー♪」
アナミズ君はうれしそうにそれをユキダルマのくびにまきます。
だまってそれをみているマサムネ君に、ノリムネ君はちいさなこえでつぶやきました。
「アリガトウ」
だれにもきこえないくらいちいさなちいさなこえで。
さむいさむい雪のあさにポカポカあったかなできごとでした。