妄想の小川
□いっしょ
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あるひマサトくんは一ぴきのネコをひろいました
黒くて小さなネコです
マサトはネコにカジュくんなまえをつけました
カジュくんはマサトくんいがいにはなつきません
パパにも、ママにも
カジュくんはいつもマサトくんといっしょです
あそぶときも、ねむるときも
そんなあるひマサトくんがおうちにかえるとカジュくんがみあたりません
だいすきなオヤツをおいてもでてきません
シンパイになったマサトくんはカジュくんをさがしにでかけました
二じかんも、三じかんもさがしました
とうとうおそらがくらくなってしまいました
マサトくんはトボトボとひとりおうちにかえりました
カジュくんはかえってきませんでした
マサトくんはかなしくてしかたありませんでした
そんなあるひパパが一ぴきのイヌをつれてかえりました
キレイなくろいイヌです
「カジュ君じゃなきゃイヤ」
マサトくんがすねていると、そのイヌはだまってよこにすわりました
「……」
(わんちゃん…)
マサトくんがチラリとよこをみるとイヌはじっとマサトくんをみていました
そっとてをさしだすとあたまをすりよせてきます
(あったかい…)
マサトくんはイヌをギュッとだきしめました
マサトくんはイヌにヒカルとなまえをつけました。
ヒカルはいつもただじっとマサトくんのとなりにすわっています
「ヒカルはマサトにしかなつかないわね」
(そうかな?)
マサトくんはヒカルになつかれているとはおもえませんでした
あるひヒカルのサンポをしていると、オトコノコがネコをかかえていました
(あっ!)
オトコノコがかかえていたネコはカジュくんでした
(カジュくん…)
オトコノコになついているのかカジュくんはせなかをなでられてきもちのよさそうなかおをしています
オトコノコが見えなくなるまでマサトくんはそのようすをジッとみつめていました
(カジュくん…)
「クーン」
きづくとヒカルがあしにすりよっています
「なぐさめてくれるの?」
ようやくママにいわれたコトバのイミがわかったきがしました
「ヒカルはいっしょにいてくれる?ずっとずっといっしょにいてくれる?」
ギュッとだきしめると、マサトのほおをつたうナミダをペロペロとなめてくれました
カジュくんがだれかのものになったのはかなしいけれど、マサトはヒカルのことがだいすきになりました
『ずっとずっといっしょだからね、ずっとずっと…』