ロックマン小説

□カンタレラ
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「飲めよ?」


「あ……?ああ……」


何も知らない顔をして、俺はフラッシュにE缶を勧めた。


「なんだよ珍しいな。雨でも降るんじゃねえの」


「…………」


何の疑いもなく、奴はE缶を手に取る。


――相談に乗ってほしい。


俺はそう言って、コイツを部屋に招きいれた。

コイツとは犬猿の仲……ということになっているので、最初は俺を警戒していた。


……でも。


敵意がないとわかり安心しきっているようだ。

相変わらずお人よしで……馬鹿だな。


「……でなんだよ?相談て…………」


フラッシュは俺のベットに腰掛けながら、素直にE缶を飲んだ。


「それは」


俺は言うと、フラッシュの横に並ぶようにして座った。


「……?なんか熱くね?」


フラッシュの人工皮膚が赤みを帯びて来ている。
至近距離に居るから、彼の熱も伝わってくる。


「……マジ熱ぃ……てか変……だ……」


フラッシュの息が荒くなる。


「クイック……お前……E缶に何か……」


潤んだ紺碧の瞳で睨んでくるフラッシュに、俺は口角を上げて笑い


「ロボット用の媚薬……まあ正式に言えばウィルス。」


ロボットの神経を高ぶらせるウィルス。


俺は言うと、奴のタイムストッパーを、手元にあったクイックブーメランで素早く切り落とす。


あっ!とフラッシュの呻きが聞こえて、彼の右腕が床に落ちた。


壊れたコードが電気を発し、流れたオイルがベットを濡らす。


それでも、彼の顔が赤らんでいるのは、このウィルスが痛さでさえも快楽に変えるから。


「これでどうしようもない……よな?」


フラッシュは俺を睨んだ。


「いつもの迫力がないな。そんな目で見られても欲情するだけだ。」


「……糞野郎」


俺は乱暴にフラッシュを押し倒す。


「大丈夫。壊しはしないさ」


そう、言うと彼の首筋に唇を埋めた。


終わり
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