ロックマン小説

□僕の居ない世界(壊光)
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「おい!おいクラッシュ!朝だぞ!起きろよ!」


ドンドンドン!


乱暴に部屋の扉を叩く音と、フラッシュの声が響いた。


ベットの端にうずくまっていたクラッシュは、その音と声にビクリと肩を震わせる。


―――今は会いたくない。顔を見たくない。また、泣いてしまいそう。


「クラッシュ!クラッシュ!!……っち!おい、さっさと来い!任務だとよ!」


ドガッと言う音がして、扉が開いた。
どうやら、フラッシュが無理矢理扉をこじ開けたらしい。


「…………!」


クラッシュは、何か恐ろしいものを見るような瞳でフラッシュを見ると
顔を膝に埋めた。


「……?どしたよお前……調子悪いのか?だいじょぶかよ……歩けるか?なあ……」


―――やめてよ……そんな優しい言葉かけないでよ……俺は君を壊しちゃうかもしれないのに。


「歩けないのか?背中に乗れよ、な?」


フラッシュは、心配そうにクラッシュを覗き込むと、優しく背中を摩った。
優しい、愛しい彼を、俺は壊すかもしれないのに


「離して!!!!」


クラッシュは、フラッシュを拒むように、ドリルアームを振り、彼の手を振りほどいた。

「!?」


ダン!!


……力をいれたつもりはなかったのだ。
なのに、フラッシュの身体は、簡単に後方にぶっ飛んだ。

フラッシュは壁に身体をぶつけると


「てめぇ、何すんだよ!」


クラッシュを睨みつけながら叫んだ。


「…………!」


やっぱり
俺は、彼を壊すんだ。
壊したくないのに壊すんだ。


「ごめん、フラッシュごめん……ごめん……わああああああ」


「ぅお??」


吹っ飛ばされたと思ったら、次は大声で泣き出す。
意味がわからない……フラッシュは、顔いっぱいに疑問苻を浮かべると立ち上がった。


「俺なんていなければいいんだ。俺なんて……俺……なんて……わああああああ」


クラッシュは泣き止まない。
涙を流しながら、存在を否定し続ける。


「……何言ってんだよ……何があった?どうしたんだよ……」
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