ロックマン小説
□僕の居ない世界(壊光)
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「そんなのわかんないじゃんか!俺なんて創られなければよかったんだ!フラッシュまで傷つけちゃうような……俺なんて……いなければ…………」
クラッシュは、早口に言うとその場にしゃがみこんた。
肩が震えている。
とめどなく溢れる涙が床を濡らしていた。
フラッシュは、また溜息をつくとクラッシュの肩を優しく撫でた。
「……言うんじゃねえよそんなこと……お前が居て、俺は嬉しいよ……安心しろって。俺はお前には壊されねえ。殺られる前に逃げるさ。だから……な…………」
フラッシュは続ける。
「夢なんて気にすんな。それともお前……俺の言葉なんかより、その根拠ねぇ夢を信じるのか?」
「…………」
クラッシュは、顔を上げてフラッシュを見つめた。
優しい瞳で自分を見つめるフラッシュが居る。
―――ああ、俺は
―――フラッシュが好きなんだ。
自分の世話を、なんだかんだ言ってやいてくれる彼が好きだ。
自分をおちょくって笑ってる彼が好きだ。
全部、全部好きだ。
だから、あの夢を見た時絶望したのだ。
自分なんて居なくなればいいと思った。
『お前が居て、俺は嬉しいよ』
『俺はお前には壊されない』
彼が言うなら、そうかもしれない。
彼が言うなら、信じれる。
「……フラッシュ……ありがと……ごめんな……」
クラッシュは、涙を拭うと立ち上がった。
そして、ニッと笑う。
「俺はお前を信じる。」
「おう。」
フラッシュも、ニヤリと笑うと、クラッシュの手をとった。
そして、歩きだす。
……その後。
任務から帰った彼等は「やっぱり夢なんて信憑性ないな」と
笑いあっていたと言う。
終わり