ロックマン小説

□僕の居ない世界(壊光)
5ページ/6ページ


「そんなのわかんないじゃんか!俺なんて創られなければよかったんだ!フラッシュまで傷つけちゃうような……俺なんて……いなければ…………」


クラッシュは、早口に言うとその場にしゃがみこんた。

肩が震えている。
とめどなく溢れる涙が床を濡らしていた。


フラッシュは、また溜息をつくとクラッシュの肩を優しく撫でた。


「……言うんじゃねえよそんなこと……お前が居て、俺は嬉しいよ……安心しろって。俺はお前には壊されねえ。殺られる前に逃げるさ。だから……な…………」


フラッシュは続ける。


「夢なんて気にすんな。それともお前……俺の言葉なんかより、その根拠ねぇ夢を信じるのか?」


「…………」


クラッシュは、顔を上げてフラッシュを見つめた。

優しい瞳で自分を見つめるフラッシュが居る。


―――ああ、俺は


―――フラッシュが好きなんだ。


自分の世話を、なんだかんだ言ってやいてくれる彼が好きだ。

自分をおちょくって笑ってる彼が好きだ。

全部、全部好きだ。


だから、あの夢を見た時絶望したのだ。
自分なんて居なくなればいいと思った。


『お前が居て、俺は嬉しいよ』

『俺はお前には壊されない』


彼が言うなら、そうかもしれない。
彼が言うなら、信じれる。


「……フラッシュ……ありがと……ごめんな……」


クラッシュは、涙を拭うと立ち上がった。
そして、ニッと笑う。

「俺はお前を信じる。」


「おう。」


フラッシュも、ニヤリと笑うと、クラッシュの手をとった。

そして、歩きだす。




……その後。


任務から帰った彼等は「やっぱり夢なんて信憑性ないな」と

笑いあっていたと言う。



終わり
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ