ロックマン小説
□初めての弟2
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……声が聞こえる。
自分の名前を呼ぶ声。
何度も頭の中に響く。
しかし、不思議にそれを不快とは思わなかった。
むしろ心地いい。
前に、この声をたくさん聞いていた気がする。
―――何処で?
何か、いろいろな話をしてもらった気がする。
―――どんな?
だが、それはデータにはない。
きっと起動する前のことなんだろう。
「……ラッシュ……フラッシュ!フラッシュ!!!」
…………
―――DWNo 014、フラッシュマン再起動シマス
電子的な声が、人工頭脳に響いて、
フラッシュは視覚センサーのカメラを開いた。
「フラッシュううううう!!」
叫び声と共に、何かが抱き着いてきた。
「のわあああああああ!痛ええええ!!」
それとともに、ギリギリと締め付けられ、フラッシュは大きな叫び声をあげる。
「クラッシュ、クラッシュ!!嬉しいのはわかるがお前の力は強すぎるんだ!離してやれ!また壊す気か!」
メタルが叫ぶと、フラッシュに抱き着いていたクラッシュを無理矢理引きはがした。
―――助かった……
フラッシュは、ぜえぜえと荒い息を上げ、抱き着いてきた張本人――今はメタルに装甲を掴まれぶらんぶらんしている――を見て、
「うのぐわああああああああああああ!!」
更に大きな声を上げ、台から転げ落ち、頭を床にぶつけた。
それに構わず、フラッシュは壁まで下がると
「うわあああああ!」
バスターを構えた。半分混乱しているらしい。
「はは…………クラッシュを怖がっているようだ……」
クイックが苦笑いしながら言う。
まあ、あれだけのことをされたら当たり前だろうが。
「……メタル、放して」
「……ん?ああ。」
クラッシュの言葉に、メタルは装甲を掴んでいた手を話す。
クラッシュは、たんっ!と着地すると
「フラッシュ、ごめん。」
泣きそうな瞳でそう言った。