ロックマン小説
□妄想ホログラム・後
3ページ/6ページ
「…………!!」
メタルは言葉を失った。
ロボットの頭部に案内され、ついたところは恐らく研究所内のスクラップ処理場。
そこに、内部を無残に破壊され、瞳を虚ろに開いたままのクイックが横たわっていた。
「クイック!クイック!?」
メタルは、持っていたロボットの頭部を投げ捨てると、クイックの肩を揺すった。
……完全に機能停止状態のようである。
「……貴様クイックに……何を」
メタルは、クイックを抱きしめると、振り返ることもせずに、凶悪な、怒気を含んだ声で言った。
「エネルギータンクを頂いただけだ。エネルギー不足で機能停止しただけだろ……あんたの形を模倣したらコロッと騙された……可愛かったぜ」
「ワイリー様の命令がなければ、貴様を今すぐ破壊してやりたい」
メタルは、今までに感じたことのないようなどす黒い感情……破壊衝動とでもいうのだろうか、
そんな底知れない、残酷な感情が、電子頭脳を支配していることに気づいた。
―――許せない。クイックをこんなにしたコイツを許せない。
……こいつの電子頭脳を砂のようになるまで粉砕してやりたい
いや、いっそ痛覚センサーが生きているままの状態で切り刻んでやろうか
こんな感情を、敵に対して持ったことはなかった。
メタルは、怒りを抑え回線を開いた。
「…………フラッシュマンに回線接続……クイックは救出した。任務完了、電子頭脳所持して帰還する。」
―――……メタル兄貴か……?了解…………
「クイックが危険な状態だ。機能停止している。ワイリー様に修理の準備をお願いしたい」
―――……クイックが……!?了解。伝えておく……
ぷっ……
回線を切ると、メタルはクイックを優しく抱き抱えた。
そして忌ま忌ましいものを見るように、ロボットの頭部を一瞥する。
怒りで震える手で、それを左手で持つと、帰還した。