ロックマン小説

□妄想ホログラム・後
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「…………!!」


メタルは言葉を失った。


ロボットの頭部に案内され、ついたところは恐らく研究所内のスクラップ処理場。


そこに、内部を無残に破壊され、瞳を虚ろに開いたままのクイックが横たわっていた。


「クイック!クイック!?」


メタルは、持っていたロボットの頭部を投げ捨てると、クイックの肩を揺すった。

……完全に機能停止状態のようである。


「……貴様クイックに……何を」


メタルは、クイックを抱きしめると、振り返ることもせずに、凶悪な、怒気を含んだ声で言った。


「エネルギータンクを頂いただけだ。エネルギー不足で機能停止しただけだろ……あんたの形を模倣したらコロッと騙された……可愛かったぜ」


「ワイリー様の命令がなければ、貴様を今すぐ破壊してやりたい」


メタルは、今までに感じたことのないようなどす黒い感情……破壊衝動とでもいうのだろうか、
そんな底知れない、残酷な感情が、電子頭脳を支配していることに気づいた。


―――許せない。クイックをこんなにしたコイツを許せない。


……こいつの電子頭脳を砂のようになるまで粉砕してやりたい
いや、いっそ痛覚センサーが生きているままの状態で切り刻んでやろうか


こんな感情を、敵に対して持ったことはなかった。


メタルは、怒りを抑え回線を開いた。


「…………フラッシュマンに回線接続……クイックは救出した。任務完了、電子頭脳所持して帰還する。」


―――……メタル兄貴か……?了解…………


「クイックが危険な状態だ。機能停止している。ワイリー様に修理の準備をお願いしたい」


―――……クイックが……!?了解。伝えておく……


ぷっ……

回線を切ると、メタルはクイックを優しく抱き抱えた。

そして忌ま忌ましいものを見るように、ロボットの頭部を一瞥する。
怒りで震える手で、それを左手で持つと、帰還した。
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