ロックマン小説

□機械の見るユメ 2
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結局、破壊衝動には抗えないのだ。

それに、流されるようにドリルアームを振るえば
コンクリートで出来た壁も、鉄筋も、簡単に崩れていくし
クラッシュボムで全ては無に帰っていく。それに、快感を覚えている自分がいる。

きっと、この物騒な手では何かを守るなんて出来ない。
壊すことしか出来ない。
守ろうとしても、きっとこの力がフラッシュを傷つける。

――― なら、俺なんて消えてしまえばいい。

破壊して破壊して破壊して、破壊しつくして
ただ、闇雲に破壊して
自分も壊れていけばいい。


人間に見放された高層ビル、工場が集まる荒野で、クラッシュは一人暴れていた。
彼の、今は赤く変化した瞳に入るもの全ては、そのドリルアームによって
無残なまでに破壊されていく。

破壊した金属の破片や、鋭くとがったガラスが、クラッシュの顔に突き刺さったが、
彼はそれを気に留めることなどはなく、破壊する。
痛覚センサーは、もう壊してしまった。
ワイリーが「自分の限界を超えないように、限度がわかるように、人間のように痛覚を感じるようにした」
そう言っていたが
限度なんかは、もはや関係ない。

壊れたいのだ
消えてしまいたい・・・・・


過度な運動量に、胸のコアが熱く、オーバーヒートしている。
冷却処理なんか、追いつかない。
きっと、このままずっと暴れていたら、コアも何時かは焼ききれて、こわれるだろう。

「あははははははははははは」

クラッシュは、楽しそうに笑いながらドリルアームを、高層ビルに突き刺した。
ものすごい音がして
ビルは倒壊する。面白いように一瞬で。
遙か頭上から、ガラガラと音を立てて、無数のコンクリートの塊がクラッシュ目掛けて落ちてくる。
クラッシュは、それを避けようともせず、ぼうっとした瞳で眺めた。

――― これに埋もれたら、俺、壊れるかな。

そう、思うと何故か笑いがこみ上げてきた。

「ふふふ・・・・・あはははははは」

このまま、壊れてしまおう。
誰にも気付かれないで消えてしまうのは、ちょっと寂しいけれど。
俺なんて、きっと居ない方がいいから。

そう思ってクラッシュは瞳を閉じた。

その、時に

「タイムストッパー発動!!!!!!!」

声が、した。
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