DWNリーマンパロ
□ナイトメアプリズナー・前
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PM12:35
ライト&コサックカンパニー廊下
「よぉエレキ。なんかご機嫌じゃん」
「ふふ……貴方には隠し事は出来ませんねファイヤー…………」
同期のファイヤーが、爽やかな笑顔でエレキに近づいてくる。
エレキはうれしそうに笑うと、そう言った。
「にしても、忙しんだろお前?システム管理責任者とか……たいへんだよな」
「……すいませんね。最近一緒にいれなくて。」
エレキは悪戯っぽく笑うと言った。
ファイヤーは少し顔を赤らめると、いや別にそういう意味でいった訳じゃ、と早口に言う。
―――全く可愛いですね
エレキはそれを見て目を細めた。
「……で、なんなの?そんなニヤニヤしちゃって」
「ああ……ちょっと面白いゲームをはじめまして。」
「ゲーム?」
「ええ。とても、楽しいです。」
そう言って笑う、想い人の瞳に、邪悪な色が混じっていることにファイヤーは気付いた。
少し、考えた後肩を竦めると
「程ほどにしておけよ」
ファイヤーはニヤリと笑いながら言う。
「さて、わたしは手加減出来ませんから。」
そう言って、ファイヤーの頬にキスをするエレキに、
「あー……わかってるよ……んなことは。」
苦笑いしながらファイヤーは言った。
同時刻
ライト&コサックカンパニーメインコンピュータ
プログラム・ナイトメア内
―――くそ…………
何も出来ない。
足掻くことすら出来ない苛立ちに、メタルはうんざりしていた。
なんとかこのプログラムを破壊しようと試みているのだが、もはや電子頭脳を侵しているウイルスのせいで、うまくプログラムとシンクロ出来ない。
「…………クイック」
無意識につぶやく。
「!?」
そしてその名前を無意識に呟いたことに、メタルは驚いた。
「はは……」
メタルの乾いた笑いが牢獄に響く。
無意識にあいつの名前を呼ぶとは。
どうかしている。
……あいつは俺が居なくなって清々するんじゃないだろうか。
メタルはそうおもいながら、独り笑っていた。
現時刻12:40
メタル消滅まで、あと11時間20分。
続く