DWNリーマンパロ

□ナイトメアプリズナー・後
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PM17:30

ワイリーカンパニー営業課オフィス



「おかえり〜随分遅かったね〜すご〜く心配してたんだよお〜〜〜」

思わず、本当かよ・・・・と言いそうになるほど、のんびりとした声でバブルが言った。
彼は手に緑茶を持ちながら、ゆっくりとした動作でそれを飲んだ。

「・・・で何か進展は・・・・っておい!
クイックどうしたんだ!?」

エアーが、スネークに担がれているクイックを見て驚いたように声を上げる。

「ああ〜ちょっと暴走しちゃったんで、機能停止させちゃったっス。すぐ回復機能作動して復活するとは思いますけど。
あ〜重い・・・・・」

スネークは言いながら、クイックのほうをチラリと見た。
微かにだがスネークの聴覚サーチに、クイックの電子頭脳から機械音が届く。
回復機能が作動しているのであれば、そんなに過度の故障はないのだろう。
彼はクイックの身体をメタルが居るソファーとは反対側のソファーに横たえた。

「・・・・・メタル課長の顔色悪くなってません???あと・・・・なんか煙でてるんすけど。」

「・・・・・・ああ」

エアーが静かに言った。
こっちも、あまり状況はよくないらしい。
煙が出だしたということは電子頭脳がオーバーヒートしているということだ。
長時間、ウイルスと戦っているためそれは仕方の無いことなのだろう・・・・
このままでいけば、本当にメタルが12時間耐えられるのかどうかも怪しい。

「とりあえず、メタルの意識の在る場所の特定は出来た。ただ・・・・・」

「あのウイルスをどうにかするにはパスワードが必要なんです。
あああああああさすがの私もパスワードまでは特定できず・・・・私は天才ではなったのか!?」

「ううん!!ジェミニは天才だよ!」

「おお私の分身!慰めてくれるのですね!?大好きですよ!!!!」

エアーの言葉を遮って、分身と喋りだすジェミニを、フラッシュは胡乱げな瞳で見つめた。

「あ〜・・・・とりえず・・・な、パスワードはシャドーが探ってくれているはずだ・・・なのでひたすら待つしかない。
それと・・・パス解除にはデジタルリンクする必要がある。
直接システムにリンクしてパス入力しなければ解除できないように出来てるらしい。
・・・全く面倒だ。」

「・・・・・わかった。」

とりあえず、パスを得ないことにはどうにも動けない、ということか。

「じゃ、シャドーに急ぐように連絡を・・・・・」

フラッシュが言いかけたその時。

がしゃあああああああああああん

「のうえええええええええええ!!??」

ガラスが勢いよく割れる音が響いた。
オフィスによく日が当たるように全面張りになっている窓ガラスが、何かに貫かれ派手に飛び散った。
フラッシュの顔すれすれに、何かとがったものが通り抜けていき
それは、オフィスの白壁に突き刺さる。

「ちょ・・・・・何コレ!?何なんだ!?これ!!!??敵襲!?敵襲!?」

フラッシュは腰を抜かし、その場にしゃがみこんだ。
矢なのかそれとも銃弾なのか。
もうとにかく敵襲だ。
ここは危ないもう壊される。
白目を向いて、震えているフラッシュの横をスネークが平然と通り過ぎた。

「これ、シャドーからの矢文っすね・・・いっつもこうなんすよ。
旧式もいい加減にしやがれって感じっすよね。・・・よっと」

至極平然といいながら、スネークがそれを引っこ抜いた。

「いっつも・・・・ってお前んとこは手紙が来るたびにガラスが割れるのか!?」

「あ〜週1くらいで割れるっす。」

そんな平然と言わないで欲しい。
フラッシュは電子頭脳に微かに鈍痛を覚えた。
こんなんなら回線を使ったほうがよほど、安全だし節約になるような気がする。

「よむっすね・・・・ええと
『18:30作戦実行。パス奪取及び隙を作るため、メインシステムに侵入せよ』ってありますね。」

……18:30……
静かなオフィスに皆の息をのむ音が響いた。
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