DWNリーマンパロ
□君の瞳に……
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「先輩。飲みに行きません?」
夜9時、誰もいなくなったオフィス。
今日も、無事に仕事が終わった……(クラッシュにデータを壊されたりしたせいで残業だったが)
さて、帰ろうかと椅子から立ち上がったフラッシュに声を掛けてきたのは、営業課のスネークだった。
スネークは課が違うくせに、しょっちゅうフラッシュに会いに来る。
何かしらの相談だったり、本人曰く「デート」の誘いだったり。
いつもなら、無下に断るところだが、
―――まあ、たまにはいいか。……丁度ストレス溜まってて飲みたい気分だし。
「……いいぜ。」
フラッシュは、パソコンを鞄にしまいながら、スネークに向けて軽く笑った。
スネークは、やったああああああ!と、まるで咆哮のような声を上げ、自分に抱き着こうとしてきたので
「やめろ。気持ち悪ぃ」
フラッシュは、真顔で冷たく言い放つと、蹴りを一発、いれてやった。
……
…………
「……でよぉ……うちのメタル?あいつムカつくんだよ。何かにつけて無能無能いってきてよぉ……あの鬼畜眼鏡いつか絶対泣かす!」
「あー……メタル課長怖いっスもんね。なんか俺に従え!的な。クイック先輩いっつも虐められてません?」
「あーー!!!……でクイックのストレス発散の標的が俺なんだよ!いちいちいちいち……あー!あの早漏野郎ムカつく!酒足りねーよ!馬鹿野郎ーーーーーーー」
会社近くの、小洒落たダイニングバーの個室。
そう言いながら、ロボット用のビールを振り回すフラッシュを、スネークは苦笑いしながら見つめていた。
……酒で、ロボットはここまで豹変するものなのだろうか。
いや、きっと日頃のストレスが半端ないのだろう。
「先輩たいへんっスね。俺が癒してあげたいです。」
「馬ッ鹿!野郎に癒されても嬉しくねーよ!」
そう、言いながらもフラッシュの頬は、微かに赤く色をつけている。
……酒のせいなのか、照れているのか。
―――可愛いなぁ先輩は。
スネークは、浴びるようにビールを飲んでいるフラッシュを、じっと見つめた。
……普通に考えれば「可愛い」と言う形容詞はフラッシュに似つかわしくないのだが、どうも、恋は盲目、らしい。