short

□H・春色フラワー
1ページ/1ページ


お。あの後ろ姿は…


「お〜い。わかわかしー。」

若「………。」


うわ。そんな睨みながら振り向くなよ。


「今帰り?部活は?」

若「ない。じゃな。」

「ちょ…待ってよ!ここで会ったのも何かの縁だし、一緒に帰ろ。」

若「………。」


だからそんな怪訝な顔すんなよ。

傷付くだろー。


若「…ハァ。お前、家は?」

「ん?あっち。」

若「あっちってどっちだ。」

「3丁目。」

若「近いな。行くぞ。」

「お!一緒に帰ってくれんの!?」

若「お前を襲おうとした人が逆に襲われたりしたら大変だからな。特別に、だ。」

「…お前を襲ってやろーかぁ?」


ま、何はともあれ一緒に帰る事になった私と若。

私が喋りかけても「それで?」とか「ふーん」とか「そうか」とかとか……素っ気無い応え方しかしないので、

私、悲しくて死にそう……ふふ。


若「あ。」


川原にでた所で若が声をあげた。


「どーしたの?」

若「アレ。」

「アレ?」


若の指を差した方向に振り向くと、そこには…


「ぉわぁ…!」


一面に花が咲いていた。

夕日が入って、風もそよいで…スゴく幻想的だ。


「綺麗…。」

若「あぁ…。」


珍しく若も感動してるようで……ちょっと私は嬉しかったりした。

…そうだ!


「ねぇ、若。こっち来てよ。」

若「なんだよ。」

「いいから、いいから…。」


ごめんネ。花。
一本折らせてね。


「ほい。わぁ!可愛い〜。」

若「…なんなんだ。これは…。」

「なんなんだって…若の頭に花を飾ってみましたんだよ。」

若「それは分かってんだよ!なんで…。」

「なんとなく。似合うよー。」

若「似合うって…。」


おー。顔赤くしちゃって…。


若「……俺が似合うなら…。」

「え?」


花の甘い香りが私に近付いてきて、

頭の上へと移動した。


若「お前だって似合ってる。」

「…ッ!!」


これは花の香りのせいか、

それとも春の陽気のせいか、

私の胸はバクバクと音をたてて、心地よかった。





(自分でしてなんだけど…照れるね。)
(何を今さら…。帰るか。)
(そだね。)


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ