short

□J・メガネノ君へ
1ページ/1ページ



「あ、若。おはよ…うぅ?」


今日の君は、いつもと違っていた。


「わー。いつもと違うー。どしたの?イメチェン?」

若「違う。」


不機嫌な若は、いつもつけていない眼鏡を上げた。

そう。眼鏡だよ。眼鏡。

眼鏡をかけている若を見たのは、初めてだ。


若「コンタクトがなくなって仕方なく眼鏡をしてるだけだ。」

「ふーん…。」


キラリと光る青いフレームの眼鏡。

結構洒落ていて、意外に若に似合っていた。


若「…ったく、たかが眼鏡で騒がれるのは迷惑だ…。」

「え。あ、ごめん。いつもと違うから…、」

若「…お前の事じゃねぇよ。…アホな関西人とピョンピョン飛び跳ねるオカッパの事だ。」

「あー…、」


テニス部の先輩だったっけ?
若と喋ってるとしょっちゅう出てくる……


若「人の顔を見るなり、眼鏡だ!眼鏡だ!…迷惑にも程があるぜ…ったく…。」

「うーん…。」


ごめん。若。
もしココが教室じゃなかったら私も騒いでたかもしれません。

にしても……


若「………。」


若って眼鏡似合うよねぇ…。

知的、みたいな?


若「…人の顔を見るのがお前の趣味なのか?」

「え?そんなに見てた?」

若「眼鏡でもよく見えるんだよ。馬鹿。」


うわ。恥ずかし…!

と、それと同時に馬鹿にされて悔しくなってきた私。

むー……


「うりゃ!隙ありー!」

若「な!」


若がよそを向いた瞬間、私は若の眼鏡を取り上げた。

うわー。めっちゃ動揺していらっしゃるー。


若「…ッチ。馬鹿じゃなかった。大馬鹿だった…!」

「小さく言っても聞こえるんだよ!」

若「…気にすんな。そんなことより眼鏡返せ。」

「えー。返してほしければ自分で取ったらー?……ん?」


アレ…?この眼鏡…


若「言ったな…。」


いや、ちょっと待ってください。

よーく見てみると若の眼鏡の度…やばくない!?

眼鏡ごしに辺りを見ると、ぼやけてるんですけど!?

かなり度が高いんだ!コレ!!

じゃあ若、今何にも見えない状態!?うわ。なんちゅーことをしてしまったんだ…!

早く返さな…


若「ホラ。返せよ。」

「え。」


気がつくと、私の真横に若がいた。

その距離、約5cm。


う、



「わあぁ!!ち、近い!」

若「しょーがねぇだろ。今、裸眼なんだから。こんぐらいでやっと見えるんだよ。」


に、にしたって近い気が……


若「お前、今スゲェ顔してるぞ。」

「え?スゲェ顔?」

若「真っ赤。」

「な!」





メガネノ君へ

眼鏡を返してニヤリと微笑む若の顔は知的を通り越して鬼畜に見えたのは、私だけ?





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ