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□O・7月20日
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「財前君。」

「…何。」


ベッドの上で雑誌を読んでた財前の顔が上がった。

うん。予想通り「今えぇとこやったのに…」の邪魔されて苛立つ顔だ。

でも後悔しない。それが私。


「今日財前の誕生日だよね。」

財「…言われてみれば…せやな。」

「何が欲しいって言ってたっけ?」

財「コンポ。」

「だよねー。高いから無理、買えませんでしたー。」

財「んなんお前の空々の財布で買える訳ないやろ。」


話の結論が出終わったと思ったのか財前は再びゴロンとベッドに寝転び雑誌を読み直した。

…ちょっとちょっと…話はまだあるんですよー。コッチ向けよー。



「財前君。」

財「…なんや。」


今度は振り向きもしませんか。コノヤロー。


「…コッチ向いてよー。」

財「………。」

「無視すんなよー。」

財「………。」

「…誕生日プレゼント渡さないぞ。」

財「え。」


ガバッと起き上がる財前。うおッ!いきなりだったからビックリした。


財「プレゼントって?」


何、この瞳をキラキラさせて頬を紅くしてる子。いつものクールフェイスはどーしたよ。

ま、いいか。
なんか可愛いから…


「プレゼントっていってもチャンとしたものじゃないよ?」

財「別に期待してへんからいい。」


なんだとコノヤロー。
マジで渡さないぞ。


財「はよくれ。」

「ーッ…はいはい。」


財前のキラキラ瞳に負けた私は鞄からプレゼントを渡した。


財「…何コレ。」

「ミサンガだよ?」

財「ミサンガ?」


え、知らないの?


「それを足首とかに巻いとくと願いが叶うんだよ。ほら、財前全中行くでしょ?」


じーっと7色の糸でつくられたミサンガを見つめる財前。

あら。やっぱ嫌だったかな。お金かけてないから…。

でも7色は難しいんだよ!?願いを込めながら編んだんだよ!

嫌でもつけてほしいなぁ…。


財「……う…。」

「え?」


なんか呟いた?


財前の方を見ると…
ギュッとミサンガを握りしめて静かにほほ笑みながら、


財「ありがと。めっちゃ大事にする…。」


と私に言った。

て……




か、



「財前…。」

財「ん?」

「…可愛い…!!」

財「はぁ!?」

「私がミサンガつけてやる!足かせ足!!」

財「な、何言ってんねん!!」






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今日の財前はツンよりデレ。

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