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□G・あったかい銀色
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「…ッ…ヒック…。」


私以外、誰もいない教室。

夕焼けで真っ赤に染まる教室。

そんな所で私は、泣いてた。

アノ人の青いハンカチを握りしめて。


『貴方の気持ちはとても嬉しいです。ですが…やはり貴方とは友達としか見れなくて…。申し訳ありません。』


私の告白を考えてか、アノ人は言葉を選んで私をフってくれた。

けど私は、その場で泣き崩れちゃって。

アノ人は、このハンカチを渡してくれた。

さすが紳士だなと思った。

私、そういう優しい所で好きになったんだなぁ、と思うと涙が止まらなくて。

止まらなかった。


「…ッ……。」

?「お嬢さん。何泣いてるんじゃ?」

「!!」


誰?

声のした方に向くと、扉にもたれかかった奴がいた。


「…仁王…。」

仁「偶然じゃなぁ。」

「…嘘。結構前から…いたでしょ…。」

仁「なんじゃ。バレてたんか。」


仁王は静かに私の隣にきた。

相変わらず白いなぁって思った。


仁「告ったんか。」

「…うん…。」

仁「そうか。」


フラれたのか。
そう言ってくると思ったのに、仁王は何も言ってこない。

…優しいなぁ…。

今の私に、その優しさは結構…くるよ?

涙が出そうで、堪えたけど、それは無駄で、


「…ッ…ック…。」


ボロボロと涙が私の頬を伝って落ちてきた。

止まらない。

そう思った時、頭に何かがのった。

仁王の手だ…。

ポンポンと優しく、子供をあやすように叩いてくれた。


仁「よぉ…頑張ったと思うよ。俺は。」

「……ック…。」

仁「お前にしては結構…なんだ…真剣に、見てて呆れる位アイツの事…好きだったもんな。」

「……ヒック…。」

仁「…いっぱい泣きんしゃい。」

「…ッ!!」


一気に何かが外れて、私は声をあげて泣いた。

十歳を越えてから、他人の前で、こんなに泣いたのは、

人生初だった。


***


仁「スッキリしたか?」

「…うん。ありがと。仁王。」

仁「別に、こんなんは容易い事よ。」

「そっか…。」

仁「そのハンカチ…お前さんのか?」

「ううん。柳生の。」

仁「…俺から返しとこか?」

「ううん。いい。ケジメついたし、私から返すよ。」


もう、いいんだ。

明日から、またいつも通りいけるから。

大丈夫さ。


仁「…そか。またなんか困った事があったら俺に言い。」

「仁王?」

仁「そ、俺に。協力したるぜよ。」

「本当?」

仁「男に二言は無いぜよ。」

「そっか…じゃあ、頼もうかなー。」


優しいね。

優しくて、頭にのってた手があったかくて…

私、スゴく感謝した。

ありがとう。



(仁王も何かあったら言ってね。相談にのるよ。)
(そーか。じゃあ一つ、部活サボったから一緒に謝りに行ってもらえんか?)
(…誰に?)
(もちろん、幸村によ。)
(………。)

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