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□今日はヘアピンデー
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蓮「………。」


柳が難しそうな顔をしている。


「どうしたの?」

気になって柳に聞いてみた。


蓮「何がだ?」

「なんか難しそうな顔してたから…、」

蓮「あぁ…前髪が伸びてな…。近々切りにいこうか考えてた。」


そう言って柳は自分の前髪を触った。

パッと見分からないけど、本人が言うなら伸びたんだろう。

普段見せない難しそうな顔からは、本当に前髪が邪魔なんだとうかがえる。

なんとかならないだろうか……んー…、


「あ、そうだ!柳、コレ使えば?」

柳「…コレ?」


首を傾げてる柳に私は持っていたヘアピンを渡した。


「コレで前髪止めたら?」

柳「…俺が…か?」

「なんのために渡したと思ってんの。ホラ。恥ずかしがってないで、ね?」

柳「…しかし、俺はこういう類いのものはつけたことがないからつけられない。」

「じゃあ私がつけてあげるよ。屈め屈め。」


嫌な顔をする柳に対して私は笑顔で柳を屈ませた。

楽しい。なんか楽しい。

柳のヘアピン姿なんか滅多に見れないぞ!


柳「ハァ…これでいいか?」


溜め息をつきながらも中腰になってくれる柳。

優しいのは昔から変わらないな。


「うん。いいよ。…じゃあ、ジッとしててね…。」


ヘアピンを持ち、柳の髪に触れる。

サラサラの髪。男子なのになんて綺麗な髪の毛をしているんだ。羨ましい。

前髪を少し分けてヘアピンで止めた。

意外に似合ってる。


「どう?」

柳「…ちょうどいい。ありがとう。」

「これ位いい…ん!」


ヘアピンがつけられたから柳から離れようとしたら、柳の手が伸びてきて私の頬を包んだと思ったら私の唇に柳の唇がぶつかった。


柳「近くにあったからしたくなった。」


ポカンとしている私に対して柳はニコりと微笑んだ。


柳「たまにはヘアピンもいいかもしれん。」

「………。」

柳「またつけたくなるかもしれない。その時は頼む。」

「た、頼むな!!」







今日はヘアピンデー

だけどまた頼んでほしい私が心の中にいた。




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