朔月の図書室
□言葉遊び
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「お帰り〜」
グウェンダルが扉を開けると、間の抜けた声が帰って来て一瞬、動きを止める
そこにいたのはこの国の最高権力者
渋谷有利陛下
ユーリは部屋に置いてあるソファーへしどけなく横たわっていた
いつも第一ボタンまでしっかりとめられている服は上着は脱ぎ捨てられ、床に放り投げられている
シャツはみぞおち辺りまでボタンを外していた
そこから覗く白い肌には赤い花びらが散っている
「…今日は誰と寝て来たんだ」
私が聞けばいつも見せる暖かな笑顔はなりおひそめ、妖艶にほほ笑む。
「気になる?グウェンダル」
シャツの間から見える白い首筋には私が残したモノではない
紅い…あと
「…貴様は私のモノだと記憶しているが?」
「違うよ〜?俺は誰のモノでもないから」
何度も交わした言葉
問い掛けには、いつも同じ答が帰ってくる。
今回も、間髪居れずに返って来た返事に眉間にシワを寄せる
そんな私を見てクスクスと笑い冗談だよと言う
「グウェンはちょこっと勘違いしてるんだよ」
「勘違い…?」
そうだよ、とまた笑う
これも、何度も聞いた。
「俺がグウェンのモノじゃ無くて」
ソレを聞きたいために、
「グウェンが俺のモノなんだよ」
この言葉を聞くためだけに何度も交わす、問い。
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