虚像の刻・短編集

虚像の刻・竜久小学生編
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『よぉ!隆生!待ってたぞ』 
 
隆生はうちからチャリで15分位んとこに住んでる。週1ウチに剣道を習いに来てるし、ガッコも同じだし、1番仲がいい。俺の従兄弟だってだけで、修行に付き合わせられてる。隆生も被害者だ。

『おぅ…。また来たぞ』
 
隆生の声に元気がない。そりゃそうだよな〜。悪いと思ってるよ紫御寺の長男の息子でもないのに、おんなじ修行させられてんだから…。『隆生!お前も修行だ!』と言うオヤジに…修行に付き合ってくれ!…っつう俺のわがままに、よくオーケーしてくれたよ。ありがたい従兄弟だ。…いや親友だ!

すでに日が暮れてたし、修業は明日からという事になった。

夕飯食って、風呂からも上がり、二人で俺の部屋に入った。

『竜久…俺さぁ、ここんち来んの…実はニガテだったりするんだよね…』
 
隆生はお化けが見えるらしい。ウチに何かいるのも自分でもなんとなく分かる。
 
『怖いっつうか…うーん怖くないんだけど、なんかモヤモヤっとしてて…逆に心地良いような…、なんだかよくわからんから、ここに来たくないんだよ』
 
『あ、ゴメン、悪いな付き合わせて』
 
『ま…いいけどよ』
 
俺達はジュースをゴクリと飲
んだ。
 
『そういえばさ…ここんちの庭に祠みたいのあるよな』
 
『ああ…そういえばあるな。なんか変なのが。なんか気になんの?隆生』
 
俺達は目を合わせ、考えてる事を一致させた。
 
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