s-story
□カスムソラ
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「あー…空曇ってるな」
彼は僕の先を行きながら
空を仰いで呟いた。
■カスムソラ■
その先には少女が3人絡まって
楽しそうに騒いでいる。
彼は彼女達から少し離れていて
僕はその彼の後を数歩遅れて歩いていた。
「梅雨明けってまだなのか?」
「もうすぐ明けると今朝ニュースで確認しましたが」
「そうか…」
少し流れる沈黙。
「なあ」
「はい、何でしょう」
「曇り空ってアレに似てるよな」
アレとは
あの空間の事だろう。
「あ…悪い」
僕の沈黙をどう取ったのか
小さく詫びて、半歩空けた隣に並ぶ。
「いえ、謝らないで下さい
ちょっと考えていたのですよ」
ちらりと伺い、両手を後頭部に回して遠い空を見ている彼を確認する。