☆osa asa☆
□time over
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(あぁ、また眉間にあんなシワ寄せて。)
公演が終わり、みんな帰り支度を済ませていくなか、ベンチに座りぼーっとしている人がいた。
その恐ろしく細い背中からは、公演終わりで完全燃焼というよりか、新たな壁に悩み苦しんでる方がぴったり当てはまる。
(さて、もうそろそろかな。)
一向に動こうとしない、その人に私は立ち上がった。
自分の支度を済ませて荷物を手に取り、横のロッカーの中からもう一人分のバッグを肩にかけて、ベンチに向かう。
「そろそろ、出ませんか。」
ゆっくり顔を覗き込みながら、悩める上級生に優しく問いかける。
「送っていくから、帰りましょう。」
そう言ってしゃがみ込むと、手を差し出された。
(あぁ、はいはい。連れてけってことね。)
その無言の合図に小さく笑いながら、そっと手を取り、すっかり弱ってしまってる姫を自分の車まで誘導する。
「そのまま、家まで直行でいい?」
助手席にチョコンと座る春野さんに、そう聞くとコクンと頷いた。
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