☆osa asaU☆
□正しいヤキモチのやき方のススメ
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「こんばんわ。」
どこのお姉さんかと思えば
またこんな夜中に、そんな恰好で
「夜に待ち伏せするなっていつも言ってるでしょう。」
「これじゃ、カギ渡した意味ないじゃない。」ゆっくり立ち上がってスカートの裾を軽く払う彼女にそう背中越しに伝えると「だってやっぱ勝手に入るのは気が引けるんだもん。」と子供のように返された
まだ夜は寒いというのに
稽古帰りにそのまま来たのか、薄でのシャツに最近は定番のロングスカートはいっそう寒々しい
彼女のこういう姿にまだ慣れていない。
外で見かける時とかは特に
この人があの場所からいなくなって
もう何度も会っているのに
恐ろしいほど何も変わらない私は
彼女を目の前にして
いまだに時々ドキリとすることがある
変わらず流れていく時間にも
急速に変わりゆく彼女にも
まだそのどちらとも私は受け入れきれていない。
だから
朝も一瞬誰だか分からなかった。
知っている人がテレビに出ていて
でもそれは全然違うひとになっていて
笑うとようやく私の知っている彼女になるその人が
違う誰かとキスしてた
ショックというよりは、まるで魔法にかけられたみたいなフワフワがなかなか解けてはくれなくて
怒るとか嫉妬するとか、そんな分かりやすい感情には正直まだ至っていないのが本音
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