復活長編小説

□『時雨』第一章(出逢い編)
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――今夜は雲一つない晴天で、皆既月蝕が良く見えるでしょう――


第一話

〜全ての始まり〜



AM2:15

「あ〜、疲れた!!」


空には満月が浮かんでいる。少女、神月刹那は一人街の中で1番高いビルの屋上に佇んでいた。彼女は何処からどう見ても『少女』であり、時間的に考えても一人ビルの屋上に佇んでいるのはおかしい。この巨大ビルは何処かの大手会社のオフィス等が入っており、もちろん彼女の家ではない。おまけに彼女は左手に装飾のついた刀を持っていた。


「刹那!」

「あ!ヤッホー、ツナ!」


ツナと呼ばれた少年、沢田綱吉もまた普通では無かった。なぜなら彼の手にはグローブが嵌められており、彼の額やそのグローブには『死ぬ気の炎』と呼ばれるオレンジに光る炎が灯っているからである。更に、今彼は現在進行形で宙に浮かんでいるのである。グローブから噴射された炎の推進力を使ってブースターのようにグローブを扱い空を飛んでいるのである。

「一人で突っ走るなっていつも言ってるだろう?」

「ごめん、ごめん。今日のは特大の獲物だったからさ。つい…ι」

「ついって…ιそれで?『狩り』は終わったの?」

「うん!今日はもう終わりかな?気配もないし。ツナもお疲れ!数体倒してきたでしょ?『鬼』。」


この世界には人々が恐れる『鬼』と呼ばれる存在がいる。それらは人々の心の闇から生まれ、人々を襲い、恐怖を生み出しては其れを糧とする厄介な存在である。しかもその存在は普通の武器では倒せない。「死ぬ気の炎」や、特殊武器でないと倒せないのだ。刹那の持つ刀は刹那自身の特殊な力を具現化したようなもので、名を『焔(ホムラ)』という。その名の通り、属性は炎である。刹那の他にもこうした力を持つ者はおり、氷を司ったり、存在そのものを消すといった力を司る者もいる。


「ツナだけじゃないぞ。下にいる奴らも数体倒してたぞ。」

「「リボーン」」

「チャオッス。」

リボーンと呼ばれた赤ん坊は、赤ん坊らしからぬ素早い動作で刹那と綱吉の所に現れた。リボーンは見た目こそ赤ん坊だが、『アルコバレーノ』と呼ばれる最強の赤ん坊の中の一人である。

見た目とは裏腹に、とてつもなく強い最強のヒットマンだ。綱吉と刹那はいきなり現れたリボーンにさして驚くこともなく、来るのが分かっていたかのように平然としている。


「やっぱみんな来てたんだ。道理で近くにみんなの気配を感じると思ったよ。」


そう言って刹那はフェンス越しに下を覗き込む。地下にはみんなこと、大小のダイナマイトを隠し持つ人間爆撃機、獄寺隼人、野球一筋な古流剣術の担い手、山本武、雷を操り電気をあまり通さない皮膚を持つ泣き虫のランボ、ボクシングを愛する座右の銘は“極限”のパンチニスト、笹川了平、仕込みトンファーで敵を『咬み殺す』最強孤高の不良、雲雀恭弥、冥界を廻り六道の力を得た術士、六道骸がいた。

「あ〜…。ツナ、みんなもう勝手にケンカ始めちゃってるけど…ι」

「また!?何でみんな俺がいなくなった途端にケンカをするかな?ι」

「あのケンカってツナを巡っての争いでしょ?ツナ、モテモテじゃん!」

「そうだぞ。あいつらのケンカは大抵ツナが原因なんだ。この時間帯は近所迷惑だ。とっとと止めに行きやがれ、ダメツナ。」

「はぁι止めに入る俺が一番迷惑だって事くらいみんな気付かないかな〜?」

「そうだよね〜。ツナにはもう雲雀がいるからみんなの気持ちには答えられないもんね〜!っていうか、そろそろ止めに入らないとさすがに雲雀がキツイんじゃない?いくらあの中で一番強いっていったって一人対全員は流石にねぇιまぁ、ランボは泣いてるけどι」

「恭弥!!ι」


沢田綱吉と雲雀恭弥はいわゆる恋人同士なのだが、他の全員も綱吉の事が好きなので、ケンカは必然的に雲雀対全員という事になる。
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