復活長編小説

□『時雨』第一章(出逢い編)
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刹那以外全員男なのだが、好きなものは仕方ないと男同士という事は全然気にしていない。刹那も、「好き同士ならいいんじゃない?」という感じで、恭弥と綱吉の仲を応援していたりする。


「それじゃあ、ケンカを止めに下に戻ろっか、ツナ!」

そう言うと刹那はフェンスを飛び越え、そのまま屋上から飛び降りた。

「あ!刹那!ι」


普通なら間違いなく即死の距離を刹那は全く動じず、地面が近付くと刀を鞘から引き抜く。

「焔!」

刹那が刀の名を呼んだ瞬間、刀は炎を纏った。地面まであと数メートルという所で刀を一振りすると炎が刀から放出され、炎が地面に当たると同時に風が発生し、その反動で刹那は地面に無事に着地する。


「刹那!だから無茶はするなってι」

「慣れてるから平気だよ!」


綱吉もグローブに灯った炎を使って無事着地した。

「10代目!」

「ツナ!」

「ツナ〜ι(泣)」

「沢田!」

「綱吉!」

「綱吉君!」

綱吉が地面に着地するのを全員が見届けるとケンカを止め、綱吉の元に我先にと集まってきた。

「みんなケンカは止めろって何時も言ってるだろ?それに毎回恭弥を目の敵にして!」

「だって、何時もヒバリばっかツナを独り占めしてズリーんだもん。」

「当たり前でしょ。綱吉は僕のものなんだから。」

「んだと!10代目はテメーのもんなんかじゃねぇ!」

「全くもって同感ですね。綱吉君が君のものだとは認めませんよ!雲雀恭弥!」

「沢田はオレと一緒にボクシングをやるんだ!!だろ?沢田!!」

「ツ、ツナはオレと一緒に…」

「アホ牛は黙ってろ!」

「ぐぴゃ!が、ガ・マ・ン!」

「獄寺君!ランボを虐めない!」

「じゅ、10代目〜ι」

「あ!そうだ!恭弥大丈夫?ケガとかしてない?」

「草食動物に僕は負けないよ。もちろん無傷さ。」

「確かに、雲雀よりもみんなの方が傷だらけだよね!」

と刹那の一言。周りを見渡せば、雲雀対全員だった筈なのに雲雀よりも獄寺達の方がダメージを負っている。「毎回こうなるのにみんなよくもまぁ懲りないなぁ。」とは刹那の意見である。

綱吉は綺麗な顔立ちをしている。そして男にもかかわらずどことなく色気があり、性格も穏やかである。戦うとき等は激しくなったりするのだが。それ故、獄寺達は綱吉に惹かれ好きになってしまったのだが、恭弥と綱吉が両思いになった今でも綱吉を諦めきれず恭弥にケンカをふっかけているのである。大抵は恭弥に一蹴されるが。


「全く。こいつらも懲りねぇな。」

「仕方ないよリボーン。みんなツナの事が諦めきれないほど大好きなんだから。」



ザワッ



「!!…場の空気が変わった?」

「どうした?刹那。」


隣でいきなり険しい顔をし始めた刹那にリボーンが尋ねる。途端に満月の光で明るかった周りが少しずつ暗くなり始めた。

「そういや、今日って何十年ぶりかの皆既月蝕らしいぜ。」

山本が言う。そういえば、テレビのニュースで騒がれていた。

「皆既月蝕は『鬼』と関係ねぇだろ?刹那。」

「そうだけど、さっきから空気が揺れてるの。それに、嫌な予感がする。」


ポウッ


刹那の右目が淡い光を放つ。


刹那の両目は左右で色が違っている。刹那は生粋の日本人なのだが右目は緑色をしており、左目は青色となっている。

骸も左右違う瞳をしており、右目は赤で左目は青だ。彼の場合“六”の文字が浮かぶ右目で術を発動させるのだが、彼女の場合は両目とも特殊で右目で未来を、左目で過去を『視る』事が出来る。そして彼女が『視て』いる間、瞳が淡く光るのである。


「刹那?」

「『鬼』が現れる!」

「またかよ!?」

「場所は?」

「ここ!」

全員が戦闘体制に入った時、闇という闇から黒い影のようなものが現れた。


「今日はやけに多くないか!?」
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