復活長編小説
□『時雨』第一章(出逢い編)
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第二話
〜リボーン来る!〜
沢田綱吉という少年は勉強もダメ、運動もダメな『ダメツナ』と呼ばれていた。そしてクラスでのけ者にされては掃除等を押し付けられていた。この日も綱吉は掃除を押し付けられていた。
「はぁ。やっと終わった。思ったよりも長くかかっちゃったな。もう帰ろう。」
下校時間はもう過ぎている。そろそろ帰らなければ、何時も見回りをしている風紀委員長に見つかりトンファーで殴られるだろう。ここ“並盛中学校”では風紀委員長であり、不良のトップでもある雲雀恭弥という人物が取り仕切っていた。綱吉は帰り支度を整えると早々と帰っていった。
「ただいま〜。」
「お帰りなさい、ツッ君!」
家に帰ると綱吉の母、沢田奈々が何やら紙を持って綱吉を出迎えた。
「そうそう!今日から家に家庭教師が来ることになったから!」
「はぁ!?何だよそれ!」
何時も突然なんだよな母さんはι等と思いつつ、綱吉は半分呆れながらも奈々を仰ぎ見た。
「今朝ねぇ、こんなチラシがポストの中に入ってたの!「子どもさんを住み込みでニューリーダーに育てます。」ですって!素敵じゃない?」
ピクッ!
綱吉の瞳が鋭くなったが一瞬の事だったので、奈々は気付かなかった。
「断って。」
「ツッ君?」
「明らかに怪しすぎるよ!それに住み込みなんて冗談じゃない!」
「でももう頼んじゃったし…。そろそろ来る時間よ?」
「…!」
「チャオッス!」
綱吉が何かに気付いたような表情をした次の瞬間、黒のスーツを着こなし、黒い帽子を被り、首から黄色いおしゃぶりをかけている赤ん坊が家の中に入ってきた。奈々はいきなりの事で驚いていたが、綱吉は身動きせず、ただ黙っている。
「ボク、何処の子?」
と驚きながらも、奈々が尋ねた。
「オレの名前はリボーン。今日からこの家に来る家庭教師とは、このオレの事だぞ。」
そう言うと、リボーンという赤ん坊は綱吉の方に目を向けた。
「お前が沢田綱吉か?」
「…赤ん坊が家庭教師なんか出来る訳ないだろ!?」
「失礼でしょ、ツッ君!こんな息子ですけど、よろしくお願いします。」
奈々はそう言うと、リボーンに頭を下げた。この場合綱吉の対応の方が普通なのだが、何分奈々は天然だった。
「それじゃあ、そろそろ部屋に行くぞ。さっさと案内しやがれ、ダメツナ!」
「ゲフッ!わ、分かったよ!」
リボーンは綱吉を蹴り、綱吉の部屋へと案内させる。
「頑張ってね!ツッ君!」
奈々は何処までも天然だ。そんな中、リボーンはあまり表情にはでていなかったが、珍しく驚いていた。
「ここが俺の部屋だよ。」
二階にある綱吉の部屋にリボーンを案内すると、綱吉は通学鞄を机の上に置き、ベッドに腰掛けた。
「おい、お前『ダメツナ』は演技か?」
リボーンは部屋に入ると綱吉に問いかける。
「フゥ…。一応聞いておくよ。そう思った理由は何?」
「お前、オレがこの家に来た時いきなり現れたオレに全く驚かなかっただろ?気配は完全に消してた筈なんだがな。」
「直前まで気付かなかったよ。」
「それに、さっきお前を蹴った時平然としてただろ。気絶するくらいの衝撃を与えたと思ったんだがな。」
「気絶させようとしてたのかよ、お前…ι」
「いいからさっきの問いに答えろ。」
リボーンは帽子の上に乗せていたカメレオンを手に取り、綱吉に向ける。するとカメレオンは瞬時に銃へと姿を変えた。
「…。そうだね。『ダメツナ』は演技だよ。」
綱吉は銃を向けられたにも関わらず、先程迄のオドオドした態度が嘘のように堂々としている。
「やっぱりな…。」
リボーンは納得すると銃をおろした。銃はまた元のカメレオンに戻っていく。
「俺の演技によく気付いたね。流石は最強の赤ん坊『アルコバレーノ』。」