リクエスト小説

□貴方と共に…
1ページ/7ページ

「遅刻する〜っ!」

「流石にこの時間はヤバイのな〜ι」

「んな事は分かってんだよ!この野球馬鹿!!」


通学路を急いだ様子で走る3人。朝だという事もあり、人通りは少ない。

何故彼らがこの世の終わりのような顔で走っているのかというと…


「遅刻したら雲雀さんに咬み殺される〜っ!!ι」


並盛の秩序である雲雀恭弥にトンファーで制裁という名の暴力を受けるからである。


「あともう少し!!」


学校の校門が見えてきたその時…



キーンコーンカーンコーン…


無情にもチャイムが鳴り響いた。これで完璧に遅刻決定。


「…また君達か…」

校門の前では学ランを風に靡かせた少年が立っている。


「ひ、雲雀さん!!ι」

「ゲッι」

「あちゃ〜ι」

「…覚悟はいいかい?」


トンファーを構えながら、恭弥はニヤリと笑みを浮かべる。


「ヒィッ!!ιあ、あの!今度こそ遅刻しませんので許してください〜っ!ι」

「前回も同じような事言ってたじゃない。」

「十代目!俺に任せてください!今日こそは雲雀の野郎を果たしてみせます!!」

「ちょっ!ダイナマイトは駄目だよ獄寺君!ι」

「ははっ!獄寺はまだ花火持ってたんだな!」

「まだ花火だと思っているの山本?!ι」


目の前にはトンファーとダイナマイトを構える先輩と友人。

綱吉は二人を必死になだめる。はっきり言って、朝から血みどろな光景なんて見たくもないし味わいたくもない。


「…まぁ、僕も暇じゃないんでね。今回は咬み殺すのは止めてあげる。」

「あ、ありがとうございます!!ほら、獄寺君もダイナマイト直して!!」

「っ、十代目がそうおっしゃるのなら…」


ダイナマイトを直す隼人を見ながらも、恭弥に意識を集中する。


「だけど遅刻は遅刻だ。罰は受けてもらうよ。…二人は1週間放課後に資料室の掃除をする事。」

「んなっ!資料室ってあの広い部屋じゃねぇか!」

「まぁまぁ。悪いのは明らかに俺達だもんな〜ι」


またしても逆上しそうな隼人を武はなだめる。


「君は1週間放課後に応接室で僕の仕事の手伝いをする事。」


「へ…?ι」








「んなっ!?ι」

「あちゃ〜ι」



『君』こと沢田綱吉は呆然とし、隼人と武は再び逆上したり困ったように頬を掻いたりしている。


「ただ簡単な書類整理をしてもらうだけだよ。それじゃあ今日からそれぞれやってもらうよ。」


呆然とする3人を一瞥したのち、恭弥は校舎へと入っていく。


校門では叫び声が響いていた。




***


そして放課後――


「十代目!あいつと二人っきりなんて危険です!何をされるか…」

「ん〜、でも逆らったりしたら後が怖いしな〜ι」

「俺は大丈夫だよιもうそろそろ俺行くね。二人も掃除頑張って!」


十代目〜!!という叫び声をBGMに、綱吉は応接室へと足早に向かっていった。



応接室前の廊下は人の気配がなく、とても静かだ。応接室は恭弥の根城となっているため、誰も近付かないのだろう。

応接室前に着いた綱吉はオドオドとした様子で扉をノックする。


コンコン。


「さ、沢田です!」

「…入りなよ。」

「し、失礼します!」



扉を開けた瞬間、腕が伸びてきて綱吉の腕を掴み部屋の中へと引っ張られる――



「ひ、雲雀さっ!」

「逢いたかったよ。綱吉…」


綱吉は丁度恭弥に抱き締められるような体制。


「っ、扉!閉めて!」


綱吉の切羽詰まった声に、恭弥は綱吉を腕の中に囲いながらも開け放たれたままの扉を閉める。


「…もう、誰かに見られたらどうするんです?」

「誰も此所には来ないよ。風紀委員にも今日は近付かないように伝えてる。」

「でも、万が一って事もあるでしょう?」

「大丈夫だよ。綱吉といつも一緒にいる二人組は邪魔しないように資料室の掃除を風紀委員の監視つきでやらせてるし、赤ん坊の気配はしないだろう?」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ