記念部屋

□最強兄弟!!
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『並盛中学校』

かの有名な並盛の支配者が統治しているという点以外では学力も部活動も並であるこの学校も、今日はどことなく華やかな雰囲気に包まれている。

季節は春。

桜が至るところで咲き誇り、子ども達の晴れ舞台を彩っている。


今日は、誰もが期待を膨らませる『入学式』の日なのだ。





――今日中学生となる少年がいる、某家庭――


「ツッ君〜!用意は出来たかしら?」

「う、うん!ねぇ母さん、俺変じゃない?」

「ふふふっ変なんかじゃないわ〜!とっても可愛いわよ!」

母親の言葉にニヘラと照れながら笑みを浮かべる少年の名は沢田綱吉。母親譲りのベビーフェイスと小柄な体型から小学生とよく間違われるのだが、今日から立派な中学生である。

対して、照れている愛息子を微笑ましく見詰める母親の名は沢田奈々。こちらも少女と間違われるほどの顔付きだが、二人の息子を持つれっきとした母親である。

綱吉は今日入学する並盛中学校の制服を着ており、奈々は薄く化粧を施した晴れ着姿だ。


「恭兄も喜んでくれるかな?///」

「きっと喜ぶわ〜!恭ちゃんはツッ君の制服姿が楽しみだって言って今朝学校に行ったのよ!」

「これからは恭兄と同じ学校に通えるんだ〜…///」

「あらあら、二人とも仲良しさんね!」

時計を確認して、二人揃って玄関前へと移動する。


「さぁ、行きましょうツッ君!」

「うん!」



仲のよい親子は、期待を胸に並盛中学校へと向かっていった。








「委員長!校舎裏で煙草を吸っていた者達には制裁をくわえておきました!」

「そう。邪魔だからどこか目立たない所にでも捨てといて。」

「はっ!」


並盛中学校の支配者は応接室にて書類を片付けていた。


風紀委員を下がらせ、生徒手帳を取り出す。


生徒手帳には、ベビーフェイスな少年の満面の笑顔が写った写真が一枚。


「楽しみだな…」


支配者こと沢田恭弥は写真の中の少年に、優しい笑みを浮かべていた。









「…どうしよう…ι」


綱吉は悩んでいた。とてつもなく悩んでいた。

新入生は保護者といったん別れて集まり、保護者の後に体育館へと入場する。そのため綱吉も奈々と別れたのだが、手洗いへと行きたくなった為に新入生達と離れたのだ。

しかし、新入生達はその間に移動してしまったらしく、案の定…


「ここ…どこ…?ι」


迷ってしまった。


適当に歩けば誰かと出会うだろうと思い、歩き回ったのがいけなかったのだろう。いつの間にか全く人気のない場所へと出てきてしまった。


「ここ裏庭かなぁ?…どうしよう…式が始まっちゃうよ…」


ここに立っていても始まらない。とりあえず歩き続けると、近くから人の声が聞こえる。

ふと曲がり角を曲がると、二人の男子中学生が座りこんでいる。


(…!良かった〜!これで体育館までの道が分かる!)


「あの、すみません!」

「あぁん?」

「何だ?」


明らかにガラが悪い。そもそも、在校生も入学式に参加しなければならないので、サボりをしているれっきとした不良達なのだが、綱吉は全く気付かずニコニコしながら二人に近付く。


「あの、すみません!体育館への道を教えてくれませんか?迷ってしまって…ι」


胸元には新入生の証である赤いリボンがついている。


「新入生かよ。」

「めんどくせ〜。」


面倒そうに綱吉を仰ぎ見た不良達は、次の瞬間固まった。


鳶色の髪に琥珀色の優しげな大きな瞳。きめ細かく白い肌に桜色の唇。少し紅潮した頬。



((可愛っっ!!///))


はっきり言って、目の前の少年はそんじょそこらの女子より可愛い。


少年は固まった不良達を不思議そうに見詰め、コテンと首を傾けた。


「?あの…?」

「「っ!!///」」



い や さ れ る !!!



今朝隠れて煙草を吸っていた際、運悪く風紀委員に見付かって制裁を受けて以来荒んでいた心が癒される!!
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