貰いもの部屋

□クリスマス
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街中に色とりどりのイルミネーションが輝きだし、マフラーが手放せないこの季節
雲雀恭弥は少々悩んでいた…。



「……何がいいかな」

何を贈ったら可愛い恋人はいつも以上に愛らしい笑顔を見せてくれるだろうか、
最近の雲雀の頭の中はその話題で持ち切りだった…。

何を隠そうクリスマスが近いのだ。



「…………」


十月のあの子の誕生日に何がほしいかと聞いたことが有ったが、綱吉は照れながら「雲雀さんと一緒にいたいです」とはにかんだのだ(可愛すぎた…)

その時は綱吉の言葉通りに雲雀は自分の一日を彼へ『贈った』

その後ハロウィン事件があり、また綱吉の違った一面を見ることが出来るなど美味しいハプニングがあったことは、この際余談である。

とにかく雲雀は何も欲しがらない彼が何を貰えば喜んでくれるんだろうと悩んでいるのだ…。


「(聞いてもどうせ答えは前と同じだろうしね。それに、僕はあの子に物を贈りたいんだ…)」

何でも良いわけじゃない
贈った『物』は『時間』とは違って形がある
つまり目で見れて触れられる
あの子がそれを見て触る度に僕を思い出すような、何か特別な物を贈りたい…。


「(綱吉のことだから、何を贈っても笑ってくれるんだろうけど、)」

雲雀は幸せに苦笑を零して応接室の席を立った。


****





「ん〜どーしよ…−ι」



ところ変わって、こちらも恋人へのクリスマスプレゼントに頭を抱えている人物が一名



「(あの人、欲しい物とかあってもすぐ手に入っちゃうだろうし…ι)」






町を歩けば美しいイルミネーションにショーウインドーの中で輝く、自己主張が激しいプレゼントの数々…。
(こんなにあったら余計に目移りしちゃうって…ι)



ツナはかれこれ一時間はうろうろとあてもなく雲雀へのプレゼントを探し回っていた。


「……、…ι」




はっきり言って、何を贈ったらよいのか非常に悩む
チビ達にならお菓子の詰め合わせで十二分だろうが相手が相手なだけにそうもいかない。


「(…って、こんな事考えててもらちがあかないよねιとりあえずもう少し歩いてみよっかな。)」



うん。そうしよう!
と、ツナはふたたび歩きだし、まだ見ていないショーウインドーの中を伺う…





「……あっ、」

ふと目に止まった…
綺麗に立て掛けられ、キラキラと輝き可憐なカーブを描きながら控え目に佇むこれ、



「(雲雀さんに似てる、かも…?)」


無機物と恋人を掛け合わせるのはいささか不謹慎なようにも思うが、凛とそこに在るこれにとても惹かれたのだ…。


「……」




ツナはその傍らに置かれた値段のプレートに視線を向け、予算範囲内だと見定めると 店の扉に手をかけた。

リリン、と心地好い鐘の音色に心が躍るのを感じた…。










***
















「メリークリスマス綱吉」

「メリークリスマス雲雀さん」

「撮影はもういいの?」

「…その話は勘弁して下さいιまさかハロウィン以外に『ナツ』になるはめに成るなんて、もう懲り懲りです;」

「なんで?似合ってたよサンタ姿」

「…嬉しくないですよ//」




そう言ってそっぽを向くツナは、寒さのせいか耳まで赤くなっていた

そんなツナの反応に雲雀はクスリと笑みを零す。それ気がつかないのか、ツナは「こんな日まで女装したくありませんでした!」などぶつぶつと愚痴を言っている…。



二人は今雲雀の家へ向かっていた
何故雲雀家かと言えばツナが行きたいと言ったからだ。

この聖なる夜に家族や赤ん坊よりも自分と過ごすことを優先してくれた事が素直に嬉しかった雲雀は その申し出を快く受け入れ、今に至る訳である。





雲雀家に到着して、ツナは感激のため息を零した
雲雀家はとにかくデカイ…。
純和風の日本家屋である彼の家は何度来ても素晴らしく華やかで威厳ある風情だ、

そんな壮大なまでの彼の家は何故かいつも以上に人気がない
理由を尋ねると−−

「手伝いの者達に暇を出したんだよ。こんな日ぐらい休ませてあげても良いだろうって両親が…。その両親も今ごろグアムだろうからね、今この家には僕達を含めて哲達や祖父母がいるくらいだ…」

彼等も家にいると言っても離れにいるから、実際は僕達二人きりなんだけどね…



雲雀さんのニヤリとした笑みに、今夜の事を想像してしまい赤面しながらびくついてしまった



「(…−ッこの、確信犯め!)」

そんな事を口走れば頬っぺたをおもいっきり引っ張られかねないのでなんとか飲み込んだ…。

そんな俺の表情に気が付いたのか雲雀さんは、今は何もしないよ と柔らかく笑みを作り、俺を彼の部屋へと導いたのだった




夕食は撮影スタジオでお土産とは思えないほど豪華なチキンやら何やらをご馳走になっていたし、雲雀ももう済ませたとのことだったので無しにして俺達は雲雀さんの部屋でたわいのない談笑をしたりお茶を飲みながら寛いでいた…。



やはり、
自分には優し過ぎるほど優しい 大好きな恋人とクリスマスをこんなふうに過ごせる事はとても幸せを感じることだった
彼の黒髪が、ほの暗いベージュのセーターとよくあっているし私服姿であることもあり、いつも以上に格好よく見える

そんな雲雀が自分に見せる柔らかい笑顔が泣きたくなるほど好きだった…




そこで、ふと思う



「(幸せにボーッとしてる場合じゃない、プレゼント……いつ渡そうかな)」




鞄の中にある黒いチェック柄の包装紙にラッピングされた箱を見る
後回しにしてはいけない。それがツナがだした結論だった。



「……あの、雲雀さん!」

「何?」

「これ…よかったら、」

「、」




ツナは意を決して恐る恐るにも雲雀に包みを差し出した



「綱吉、これ」

「クリスマスプレゼント、です。あの、雲雀さんの好みとかよくわかんなくて勝手に選んだ物なんですけど…」

「……」

「ひ、ひばりさん?」



黙りこんでしまった雲雀にツナは不安が募る
そっと顔を覗き込むといきなり抱きしめられた


「ぅえ!ひ、ひばりさん//」

「先を超されたね、」

「?」

「ありがとう綱吉。凄く嬉しいよ…開けても?」

「あ、はい!」



ツナの柔らかな笑みに満足そうな笑顔で返した雲雀は 慎重に包みを広げていく
ツナは内心、(雲雀さんからしたら)安物だろうし気に入ってくれるかな…と不安がはち切れんばかりだったのだが、雲雀の喜びに満ちた顔をみて安心が込み上げてきた
中に入っていたのはあの時惹かれた黒い−−−…


「万年筆?」

「はい。なんかこう雲雀さんに似合いそうな気がして…。仕事の時とかに使ってもらえたらな、って」

「……ありがとう大切に使うよ」

「はい!」






喜んでくれてよかった!
と、この寒いのに春風が吹くかのように綻ぶツナを見て雲雀は再度ツナを抱きしめた



「あんまり可愛いことしないでよね…」


後で抑えがきかなくなるでしょ

その言葉にツナは首元まで赤く染めて 照れ隠しのようにぎゅっと雲雀を抱きしめ返した



「それじゃあ今度は僕の番だね」

「ぇ?」

「綱吉、受けとってくれるかい」

「…ぁ、…」



雲雀が取り出したのは自分が雲雀に渡した物よりもかなり小さな小箱。

不謹慎ながらも高まる期待…−







「ひ、ばりさん…これ」

「左手だして」



雲雀が包みを開けた
取り出されたシンプルなシルバープラチナの小さな輪に涙腺が緩んだ…。


「……」

「……」

「………」

「…ぁ、りがとうございます」

「…気に入って、くれた?」

「はい。凄く…」

「、そぉ」


雲雀は安心したみたいに笑った
あぁ雲雀さんも俺と同じ気持ちだったんだな…

薬指におさまっている指輪を見る
綺麗だった




「なんか…」

「?」

「ぴったり」

「あぁサイズは何となくで選んだんだけど、ぴったりでよかったよ」

「……なんだか、ぴったりすぎて ずっと前から嵌めてたみたい」
「……」




じっと指輪を見つめる。
ほんと、ぴったりすぎて最初からあった気がした
   
(本来ここに在ることが当然であったかのように)





「綱吉、」

「ん」

「君が、そんなこと言うのが悪い…」



雲雀はツナの瞼や目尻にキスを降らせた
ツナはぎゅと雲雀の服を握りながらとろんとした目でそれを甘受けした
そんなツナの愛らしい姿に雲雀は切れ長の目元を緩め、逆にツナを抱きしめる手は引き締めた

まるで離さないと言わんばかりに熱い抱擁













「つなよし、」

「はい…」

「好きだよ」

「…はい。俺も大好きです」

「知ってる」






鼻先でクスクスと笑いあえる事に溢れそうな幸福を感じた





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(まるで赤い糸のような)

(ペアリング)

(繋ぐは二人の誓い)

(祝福の鐘を鳴らすは赤服の老人)





***




お・く・れ・た!!


※神有月様のみお持ち帰りOK!!



***

二人とも可愛すぎるだろう!!///

無花様ー!こんな素敵な小説をありがとうございます!!^^
 

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