貰いもの部屋

□怪物使いツナ!
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『貴方は最強の怪物使いの子孫なのですぞ』

『そんなもの信じない。俺は怪物使いなんかになりはしない!』

















なんて虚勢を張ってはいたものの、多くの体験もしたし沢山の大切な仲間もできてしまった。

それは今までダメツナを演じていた自分にとっては純粋に嬉しい出来事だった…


だからこそヒバリンに対して不安がある。



「(俺は着々とリボじぃの思惑通り先代達の意志を継いでいってる…)」








このままでは
いずれ自分は本気で彼の血を浴びることになる…。


敵同士の間にあるものとはただ一つ
敵への殺意…−
ヒバリンは、それをわかっているのかわからない。

(きっとわかっていて言ってるんだろうな)


























「やっぱり君が好きだ…」



俺もです。とそう答えられたらどんなに良いかと思う

でも俺には代わらず口を閉ざして俯くしかできない



「(…恐い)」





もし、想いを伝えたら止まらなくなってしまう予感がある
自分の使命感も仲間への罪悪感も捨てて、彼の中へ墜ちていける自信がある

それが恐い





「お、れ…−」



いつの間にかこんなに彼の事を好きになってた


「(いまさら気づく、とか…)」





「…−−何?」


彼の黒髪がくすぐったい
最愛の彼とこんなに近くにいるというだけでのぼせたみたいだ…




「…おれ、」


言おうとして口を閉ざす。
急に何を言おうとしたのか解らなくなった。




そんな俺を底光りするブラックダイヤモンドの瞳で見詰めていた彼は俺の肩を抱き寄せて
俺の髪にキスを落とし、耳元で囁くように言った



「いい加減、認めなよ」

「!!…−−ッお、れは」

「うん」

「俺は…いずれ、必ず貴方に手をかけます、」

「そんなこと分からないよ」

「いいえ分かります。吸血鬼に空腹による吸引衝動が在るのと同じで、俺にも怪物使いの血による怪物への殺戮衝動がある。」

「……」

「…忘れないで下さい。俺達ば狩る者゙ど狩られるモノ゙で在ることを、」




俺はヒバリンの目を見つめ返した。
相変わらず彼の瞳からは何も読み取れない…

だが、今はそれが逆に良かった。







「忘れはしない」



しばらくして俺の耳に届いたヒバリンの声は断固たる決意や自信が満ち溢れているようだった




「忘れるはずがない。僕達ば君達゙のお陰で僕だけになったんだからね…」

「…、……」

「何百年経とうとも覚えてるよ。゙君達゙にどれ程憎しみを持って戦いを挑んできたか。」

「……」




今まで吸血鬼と殺り合った怪物使いやハンター達の数は当然のように吸血鬼の方が少ない。

ツナは心が霞んでいくのを感じながら瞳を閉じて彼の言葉をただただ追い掛けた
…−その瞬間彼の言葉に驚愕






だから何?











「!!?…−なに、を」

「そんなもの知らない関係ない」

「ぃや、…関係ないって、」

「まったく君は面倒臭いね、好意を持ったのが敵だった。それだけでしょ?」




だから何なの
たかがその程度の事で君を諦めろって言うの?
僕はそんな軽い気持ちで君を愛したわけじゃない…。





「あ、愛ッ//」

「嘘は言ってないよ。僕は敵同士だとか気にしない、逆に君に囚われるなら本望だ…」

「そ、んな…−」

「君は?」

「…おれ?」

「そぉ君は僕に血を吸われるのは恐い?」

「……いいえ」




もし、彼に全身の血を根こそぎ吸われて殺されるとしても
彼にならば、…と思えるのだ。





「(それはつまり…)」











再度ヒバリンに目を向けると機嫌が良い黒猫のように目を細めて微笑をうかべていた。

それがあまりに綺麗で奇麗で愛おしくて…
自然と、俺は彼へ微笑み返せていた。



そのままそっ、と瞼にキスが落ちてくる







「ねぇ」



ヒバリンの吐息が睫毛を掠める
それにクラリとした




彼の全身から濃厚なまでに薫り立つ薔薇が染み出して来るかのような錯覚に陥る…。

クラクラクラリ、と



まるで酒にでも酔ったかのようだ


つな、と愛しい彼が愛おしそうに俺の名前を口にする


「君の血をちょうだい」

「…、……−はい」




でも、そのかわりに

「…−−貴方を、ください」







これは孤高に生きてきた彼に怪物使いの所有物になれと言っているようなもの…
だけどこんなにも俺を求めてくれるなら俺も貴方を求めたい。
そう思う。




「愚問だね」



彼は俺の首筋に啄むようなキスを落しながら笑った


「僕はとっくに君のものだよ」











近くで皮膚がプツリと切れる音が聞こえた






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