七色の雫
□第三章
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「うー…まだ草むらたくさんあるし…もーくたくただよ〜…。」
リンはコウキの姿が見えなくなるのを見ると、溜め息を吐き近くにしゃがみこんだ。
『――もう疲れたの?まったく、随分ヘタレなご主人様ね!』
「…はい?」
突然、どこからか聞こえた声にリンは立ち上がり辺りを見回した。
『ちょっと!こっちよ、こっち!下よ!』
「だ、誰…?」
リンは恐々と下を見た。
と同時にチコリータがリンの服を引っ張った。
「…まさか、チコリータ?」
『そうよ?』
「…えええええええ!?」
リンは驚き叫んでしまった。
それを見たチコリータは呆れたようにリンを見る。
しかし、驚くのも無理はない。
――――普通ならポケモンは喋らない筈なのだから。
「ぽ…ポケモンって喋れたの…?」
『普通の人間なら会話はできないわ。でも、あなたとは会話ができるの。』
そっけなくチコリータが言う。リンは驚いたままだ。
「なんで私だけ…!?」
『さあ?わからないわ。でも便利よね。いろいろ話せるっていうのは。』
リンの頭の中はわけのわからないことになっているに違いない。リンは目を点にしながら首を捻りまくっていた。
『それはさておき、そろそろニックネームでもつけてくれない?バトルでもやる気がでないわ。』
そんなリンに構わず、チコリータは淡々と喋る。
それを聞いてハッとしたリンは急いで考えた。