闇に舞う使徒たち
□第一夜 はじまり
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キーンコーン カーンコーン
(はぁ…、終わったか)
教室の一角で、少女は一人、テキパキと帰り支度をしていた。
明日から夏休みの為か、教室の中は物凄く騒々しい。少女も休みに入るのは願ったり叶ったりだが、正直煩すぎる気がした。
「るい流、部活行こう!」
「今行く!」
教室の入り口ら辺からかけられた声。――瑞穂(みずほ)だ。一緒に部活へ行く為に迎えに来たのだろう。
るい流は鞄を掴むと、ガヤガヤと騒いでいるクラスメート達の間をぬって廊下へ出た。
ガチャッ、という音ととも、に瑞穂が放送室兼部室の扉を開けると、後輩たちの元気な挨拶が聞こえて来た。――中には、珍しく女子部員全員が集まっていた。
瑞穂がへえー、と感想を漏らす。
「珍しいね。皆いたんだー」
「るい流、ちょっといい?」
二人が荷物をテーブルの上に乗せていると、三人目の三年生。――優奈(ゆうな)が話しかけて来た。
「あのさ、夏休み中の部活の予定なんだけど…」
「ああ、夏期講習だっけ?」
「そう、だから全員が集まれる日決めときたいんだけど」
「んー、分かった。私もそんな何回も来る気ないし。――皆、ちょっと集まって」
一応部長らしく部室内の四人を集合させたるい流は、カレンダーを囲んでそれぞれの予定を確認して行った。
ガチャッ!!
「あ?…何、あんた達が揃って来るなんて珍しいじゃん」
活動の日程を話していると、突然扉を開けて三人の少年が入って来た。
室内にいた五人が揃って視線を向けると、そこに居たのは放送部の男子三人組だった。
「俺ら、夏休みあんまこっち来れねぇから」
「わかってる。あんた達は別に来なくても良いよ」
「なら良いいけどよ。じゃあ何か決まったらメールしてくれ」
「んー」
カレンダーと予定を照らし合わせながら生返事を返すと、本條は委員会の仕事が残ってるからと言って出て行った。
残りの2人もそれぞれ用事があるらしい。
「よくやるよね、夏休みの前日まで仕事溜まってるなんてさ」
「るい流だってそうじゃん。委員会の仕事まだ残ってるんでしょ?」
「まあ、あれは急ぐ物じゃないし」
瑞穂の問い掛けに、るい流は気のない返事をする。
(ふん、私の仕事が遅いって思われんのは癪だけど、私委員長じゃないし、誰があんな奴らのためにテキパキなんて動くかってのッ。どーせ使うの夏休み明けだしぃ?その分完璧にすりゃ良い話でしょ)
「先輩、そろそろ帰りの放送しないと…」
るい流が内心考えている事など露知らず、一年生の柊香(しゅうか)が声を掛けて来た。
「あぁ…。じゃあ皆でやろっか?」
るい流の問いかけに、四人はそれぞれ肯定の意を示すと、慣れた手つきで操作を始めた。
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