闇に舞う使徒たち
□第二夜 時空管理者
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「どこまで続くんだよ……」
明らかに怪しい穴に落ちてから、るい流はひたすら下へ落ちていた――。
いや、もしかしたら下ではないかも知れない。もう平衡感覚は完全にいかれてしまっていた。
(このまま落ち続けたらいずれどっかの地面に……あ゙ぁ゙もうッ!どうしろってんだッ!)
初めはどうしようかと思っていたるい流だが、次第に今の状況に腹が立って来ていた。
いつまでも何の変化もなく、飽き飽きして来たのもある。――なんとも神経のずぶと……いや、肝が据わっているのだろうか…。
「何でこんな非現実的で非科学的なことが起こってんだかね……」
るい流は無意識のうちに、落ちるときに手にしていたショップバックを抱えながら呟いた。
中に入っているのは、先ほど瑞穂との買い物で買った服だ。
落ちているときに何処かへ飛んで行かない様、気を付けていた。どこに向かっているのかは知らないが、なくしてしまっては金の無駄であろ…。――今心配するところはそこじゃないだろうが…。
因みに元々持っていたバックは、手に持っていたのを、落ちながらも器用にショルダーに直し、今は肩からかかっている……。
「ん?あれって地め…」
ドンッ!!!!!
「ゔぅ゙っ…………」
長々と無重力空間を落ちていたと思ったら、急に終わりがやって来た。
るい流の体は、これでもかという勢いで穴の底にぶつかった――。
あちこちギスギスしている感覚はありながらも、何とか背中を擦りながら起き上がると、そこは辺り一面真っ暗闇だった。
しかしるい流は、正直、あんなに高い所から落ちて怪我一つないことの方に驚いた。――確かに昔から身体だけは丈夫だったが……。
「何これ、なんも見えないじゃん。……は?」
ぶつぶつと呑気にもぼやいていると、突如、白っぽい光が浮かび上がった。
(――なにコレ…?)
その光の正体は、金髪に蒼い瞳、透き通るような肌をした、一瞬見取れてしまいそうな若い男の人だった――。
「あなた誰?」
るい流はかなり警戒しながらも、一応年上そうな男性に、敬語を使って聞いてみた。
「俺?俺は神」
男は、ドンッとかジャジャーン!とかいう効果音が付きそうな態度でサラリとのたまった。
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