Starry☆Sky 文
□シンデレラパロ
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あるところにシンデレラという美しい娘が住んでいました。
シンデレラは意地悪な姉たちに苛められる日々を送っていました。
「掃除は終ったかな?うん、もう終ってるよね?」
「ほ、誉御姉様」
「ちゃんとやるんだぞ?あ、窓ガラスは新聞紙で拭くと良く落ちるぞ。床は水で薄めた牛乳で拭くとピカピカになるから。でもその後乾拭きも忘れるなよ?あとはタンスの間はいらなくなったストッキングとかをハンガーにかぶせて…」
「は、はい錫也御姉様」
「では僕たちは舞踏会に行ってきますね。留守番お願いします。サボったら…お仕置きですよ?」
「わ、分かりました颯斗御姉様」
どことなく黒いオーラの御姉様たちは今日、城で開かれる舞踏会へと行ったのでした。
「私も舞踏会に行きたいなぁ…でもドレスもないし…」
「ぬはは〜!俺がなんとかしてやるぞー!」
窓の外から不審な声がしました。すると窓から怪しい人が入ってきました。
「あ、あなたは?」
「ぬはは!天才発明家、天羽翼なのだ!」
(魔法使いじゃないんだ…)
「あ、一応魔法使いでもあるぞ〜!」
「そ、そうなんだ」
「それより俺が舞踏会に連れてってやるぞ〜!」
「本当っ?」
「ぬい!まずコレ!ドレス!」
「わっ!キレイなドレス…!!もらっていいの?」
「ぬい!昨日がんばって怖いお兄さ…いや、お姉さんに作ってもらった!」
(…錫也御姉様?)
「あとコレ!靴!ガラス製だから気をつけないと血だらけだぞ〜!あ、ちなみにコレは俺が作ったんだ!えっへん!」
「あ、ありがとう…(なんでわざわざガラス製に?)」
「あとは舞踏会に行くかぼちゃの馬車なんだけど〜…ジャジャーン!コレを見よ!」
側にあった黒い布に包まれた物体が姿を現しました。
「何、コレ?」
そこにはでかくてゴツいメタリックな馬車(?)がありました。
かぼちゃの面影がありません。
「TSUBASA-Xなのだ!俺の超力作だから丁寧に扱ってくれー!あ、でも弱点は人力だから人がいないと動かないのだ」
(い、意味ないじゃん!!)
「だから今回はこの2人に引っ張ってもらうのだ!」
すると窓からもう2人人物が入ってきました。
「やぁ、君に会いたくてしかなかったんだ。僕が責任を持って舞踏会まで運ぶよ」
「て、てめーまたさりげなく甘いセリフ吐きやがって…。仕方ねェから俺も引っ張ってやるよ!」
「哉太は別にいいけど…僕だけで十分」
「お前だけだとコイツに何仕出かすか分かんねぇだろ!」
「Oui…仕方ないな」
「ぬはは〜!というわけでこの2人が君を乗せたTSUBASA-Xを舞踏会まで引っ張っていくから!よろしく〜!じゃぁ俺帰るー!またな〜!」
ぬはは〜と笑いながら魔法使い(?)は窓から出て行った。
第一魔法といえるものを一回も使っていないのだが、一応感謝することにした。
てゆうか人力で舞踏会まで間に合うのかな…?
「ほーら、早く乗れよ!」
「ま、待って!着替えてくるから!」
「じゃぁ僕が手伝うよ」
「い、いらないっ!」
赤くなったシンデレラは奥の部屋へそそくさと着替えに行きました。
「羊!て、てめーふざけたことぬかしてんじゃねーよ!」
「哉太何赤くなってるの?なんかいやらしい事考えてない?」
「うるせー!それはお前だろ!黙ってろ!」
2人がギャーギャー言っているうちに着替え終わったシンデレラが部屋から出てきました。
「ど、どうかな…?」
「わぁ…すっごく可愛い!綺麗!思わず見とれちゃったよ。ね、哉太?」
「うぅ…ま、まぁ悪くないんじゃね?」
「はぁ…素直になればいいのに。じゃあお姫様、これに乗って?」
羊君がボタンを押すとメカのウィーンと入り口き、階段がでてきました。
(ロマンの欠片もない…)
と思いながらも乗り込むシンデレラでした。
「うーっし!じゃあ行くか!」
「Oui」
2人の少年はシンデレラを乗せたメカを引っ張り城へ向かうのでした。
―――――――――――――
馬車並に早い2人のがんばりのおかげで城まで着くことができました。
「うぃー着いたぜ…ぜぇぜぇ…めっちゃ重かった…」
「わ、悪かったわね!」
「重いのは君じゃないよ。このゴツいメカだ。それよりさぁ、舞踏会が始まるよ!」
「うん!2人ともありがとう!!」
シンデレラはお城の中へと入っていきました。
すると丁度舞踏会が始まっているところでした。
「わぁ…綺麗な人ばっかり…!」
「おや、お嬢さん。舞踏会初めてかな?」
おもわずうっとりしていると、もじゃで眼鏡な人から声をかけられました。
「は、はい」
「よかったら僕と一緒に…」
「水嶋ー!あっちでワイン飲めるぞー!!ちょー旨かった!おっ?その子お前の知り合い?」
小さな元気の良い少年(?)が入ってきました。
「あの…お酒は成人しないと飲めませんよ?」
「なっ…俺は成人だー!!もう24だぞ!」
「そ、そうなんですか!?すいません!!」
シンデレラは失礼なことを言ってしまいました。
「まぁ、この外見なら仕方ないよね」
もじゃ眼鏡さんがフォローしてくれました。
「うるさい!…それよりお前可愛いな〜!!俺陽日直獅!こっちが水嶋!よろしく!」
失礼なことを言われたにもかかわらず切り替えの早い人でした。
「は、はい!よろしくお願いし…」
「おーい。俺を置いて女の子とイチャイチャしてんのお2人さん?」
「あ、琥太にぃ。どこにいたの?」
「だるいから酒飲んでた。それよりその子紹介してくれよ」
今度はだるそうな人が入ってきました。
「シンデレラです。どうぞよろしくお願いします」
「へぇ〜…可愛い。君となら踊ってもいいかな」
「ちょと琥太にぃ。彼女は僕と踊るんだよ」
「違うぞー!俺と踊るんだ!」
「お前は社交ダンスなんてできないだろ。ジュース飲んでおとなしくしてなさい」
「俺は酒飲めるぞー!!」
「えっ、えっと…」
シンデレラが困っていると、そこに1人の男性が来ました。
「俺と踊っていただけませんか?お姫様?」
それは王子様でした。
「あ…」
思わずシンデレラは見惚れてしまいました。
「おっと、自己紹介が遅れました。不知火一樹です。あなたは?」
「シ、シンデレラです」
「美しい名前だ…。それで、踊っていただけますか?」
「わ、私でよければ喜んでっ」
シンデレラは王子様と踊ることになりました。
「ちくしょー!ぬいぬい王子にとられたぞー!!」
王子にシンデレラを取られた3人はがっかりしていました。
「まぁまぁ…はい、オレンジジュース」
「カ○ピスもあるぞ」
「2人して何だよー!俺はワインがいいんだー!!」
一方シンデレラは王子様と踊り、楽しい時間を過ごしていました。
王子様はシンデレラの美しさにどんどん惹かれていきました。
シンデレラもそんな王子様に惹きこまれていくのでした。
ゴーン、ゴーン
その時12時の鐘が鳴りました。
「あっ…」
「どうかしましたかシンデレラ?」
「あ、その…(錫也御姉様が12時以降に寝るとお肌に悪いから絶対それ以降に寝たら駄目!美容の大敵!って言ってたよね…)」
錫也御姉様は何気にシンデレラに気を配っていました。御姉様、というよりはオカンでした。
「シンデレラ?」
「あの、私そろそろ帰らなきゃ…!!」
「え?なぜですか?」
「その…夜更かしは美容の大敵なので!」
「えっ」
「今日は楽しかったです。また会いましょう!さようならっ…」
王子への想いを胸にしまい込み、シンデレラは階段を駆け下りていきました。
「シンデレラっ!!」
王子の声が届く前にシンデレラはもういませんでした。
「なんということだ…思いを伝えないまま…ん?これは…」
シンデレラが降りていった階段の途中にはシンデレラが履いていたガラスの靴が落ちていました。
「王子様?どうしました?」
「む…何かお困りのようですが…」
ぱっつんとツンデレな家来が来ました。
「このガラスの靴がぴったりな娘を町中から探し出してほしい。名前はシンデレラという娘なんだ」
「え〜、それってかなり大変じゃないですか?この町中をどうやって探せと…」
「こら木ノ瀬!た、たしかに大変ではあるが…」
「ちなみに報酬はジャンボチョコレートパフェデラックスだ」
「む!!?…木ノ瀬、なんとしても探しだそう」
宮地君は目の色が変わりました。
「あぁーなんかスイッチ入っちゃいました。てゆうかその報酬嬉しいの宮地先輩だけですよ…」
「いいから探すぞ!」
「分かりましたよ、まったく…」
「2人とも、頼んだぞ!」